「表側矯正を始めてから、歯が黄色くなった気がする…」そう感じる方は少なくありません。ブラケットやワイヤーを歯の表面につける表側矯正では、治療中にホワイトニングができなかったり、コーヒーや紅茶などによる着色汚れが残りやすかったりするため、歯が実際よりも黄ばんで見えることがあります。
ただし、これは表側矯正そのものが歯を黄ばませるわけではなく、装置による制約や光の反射、食生活による着色といった複数の要因が重なって起こる現象です。表側矯正は、裏側矯正(舌側矯正)やマウスピース型矯正とは違い、矯正中のホワイトニングが難しいという点も影響しています。
とはいえ、矯正中でも工夫次第で歯の黄ばみを予防することは可能です。本記事では、表側矯正で歯が黄色く見える理由や、日常でできる対策、さらには矯正方法による違いについてわかりやすく解説していきます。矯正治療中でも口元の美しさを保ちたい方は、ぜひ参考にしてください。
実際のご質問と医院での回答(実例)
矯正を検討中の方や、すでに治療を始めた方から、よくこんな質問をいただきます。
Q:「表側矯正だと歯が黄色くなりやすいですか?」
この疑問に対して、医院からの回答は以下のとおりです。
A:「表側矯正の場合、装置を外すまでホワイトニングを行うことはできません。そのため、治療中は着色しやすい飲食物を控えていただくようご案内しています。一方で、歯の裏側に装置をつける裏側矯正(舌側矯正)であれば、矯正中もホワイトニングが可能なので、歯の色で悩むことはほとんどありません。」
つまり、表側矯正だからといって「歯が必ず黄色くなる」というわけではありません。ただし、装置の構造上、どうしても ホワイトニングができない期間が続くことや、着色汚れが残りやすいことから、歯が黄ばんで見える可能性は高まります。このため、矯正中に「歯の色が気になる」という方は、治療法や日常ケアの工夫によって対策することが大切です。
表側矯正で歯が黄色く見える理由
表側矯正を始めると、「なんだか前より歯が黄色く見える気がする…」と感じる方が少なくありません。これは、単純に歯そのものの色が変化したというよりも、矯正装置の影響や日常生活の習慣が関係しています。ここでは代表的な3つの理由をご紹介します。
装置があることでホワイトニングができない
表側矯正では、歯の表面にブラケットやワイヤーを直接装着するため、ホワイトニングの薬剤を均一に行き渡らせることができません。そのため、矯正中は基本的にホワイトニングを行うことができず、歯の色を明るくするケアは装置を外すまで行うことができません。治療が長期間にわたる場合、この「ホワイトニングできない期間」が黄ばみを意識する原因のひとつになります。
食事や飲み物による着色汚れ
コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーなど、色素の濃い飲食物は歯の表面や装置のゴム(モジュール)に沈着しやすくなります。特にモジュールは素材の特性上、色素を吸収しやすく、数週間で黄ばみが目立ってくることもあります。その結果、歯全体が黄ばんで見えてしまうのです。
光の反射による「黄ばみが目立ちやすくなる」現象
表側矯正では、セラミックブラケットやホワイトワイヤーなどの白っぽい装置を使用することもあります。一見目立ちにくくて審美性が高いのですが、白い装置と歯の自然な色のコントラストが強調されることで、逆に歯の黄ばみが際立って見えることがあります。
表側矯正中の黄ばみ対策とは?
表側矯正では装置の影響でホワイトニングができないため、日常のケアで黄ばみを防ぐ工夫がとても大切です。ここでは、自宅でできる対策から歯科医院で受けられるケアまでご紹介します。
着色しやすい食品を控える・飲み方を工夫する
コーヒーや紅茶、赤ワイン、カレーなどの色素が濃い食べ物や飲み物は、装置や歯に着色しやすい代表例です。完全に避けることは難しくても、できるだけ摂取の頻度を減らしたり、色の濃い飲み物はストローを使って歯に直接触れにくくすのがおすすめです。さらに、飲食後すぐに水でうがいをするだけでも沈着を防ぐ効果があります。
専用の歯磨き・洗口剤の活用
矯正中は歯ブラシが届きにくい部分が多いため、着色やプラークが残りやすくなります。そこで、ステイン除去成分入りの歯磨き粉や、フッ素配合のジェル・洗口剤を取り入れると効果的です。フッ素は虫歯予防にもなるため、矯正中の口腔トラブルを防ぐ上でも大きなメリットがあります。
定期的なクリーニング(PMTC)を活用
どんなに丁寧に磨いても、自宅ケアだけでは限界があります。そこでおすすめなのが、歯科医院で受けられるプロのクリーニング(PMTC)です。専用の器具で歯の表面や装置まわりをしっかり清掃することで、ステインやプラークを効率よく落とせます。定期的に受けることで、見た目の清潔感だけでなく虫歯や歯周病の予防にもつながります。
裏側矯正(舌側矯正)ならホワイトニングも可能
表側矯正では装置が歯の表面を覆うため、矯正中にホワイトニングをするのは難しいのが実情です。
一方で、裏側矯正(舌側矯正)なら、歯の裏側に装置をつけるため、前歯の表面は装置で覆われません。そのため、矯正治療中でもホワイトニングを行えるという大きなメリットがあります。
装置が歯の裏側にあるため、前歯の表面は空いている
裏側矯正(舌側矯正)ではブラケットやワイヤーがすべて裏側につくため、人から見える歯の表面がそのまま保たれます。そのため、矯正中でもホワイトニングの薬剤を均一に塗布することができ、白く美しい歯を保ちながら治療を続けることが可能です。特に「人前に出る仕事をしている」「写真や映像に映る機会が多い」という方には大きな利点となります。
審美的な管理がしやすい=口元への意識も保てる
裏側矯正(舌側矯正)は、装置が見えにくいというメリットに加えて、歯の色まで同時にケアできる点で審美的な管理がしやすい治療法です。矯正中に歯の黄ばみを気にせず過ごせることで、モチベーションを保ちながら治療を続けられます。
歯の色が気になる方への装置選びのアドバイス
「矯正中に歯が黄ばんで見えるのは避けたい」という方は、装置選びの段階で工夫することもできます。
表側矯正でもホワイトワイヤー・セラミックブラケットを活用
表側矯正といっても、昔ながらの金属ブラケットだけではありません。近年は セラミック製の白いブラケットや、コーティングされた ホワイトワイヤーが普及しています。これらを使えば、装置が歯の色に馴染みやすく、金属のギラつきが抑えられます。「矯正中の見た目」を気にされる方には大きなメリットとなります。
審美重視の方には裏側矯正(舌側矯正)やマウスピース型矯正も検討を
もし「歯の色や清潔感をしっかり保ちたい」と強く考えるなら、裏側矯正(舌側矯正)やマウスピース型矯正も選択肢に入ります。裏側矯正(舌側矯正)なら矯正中でもホワイトニングが可能ですし、マウスピース型矯正なら装置を外してホワイトニングや日常のケアを行えるため、歯の美しさを維持しやすいのが特徴です。
このように、装置の種類によって「歯の見え方」や「ホワイトニングの可否」が大きく変わります。矯正を始める前に、「歯の色も気になるのか、それとも装置の目立ちにくさを重視するのか」を明確にし、歯科医師と一緒に最適な装置を選ぶことが大切です。
【マウスピース矯正について詳しくはこちら】
歯の色が気になるなら装置選びから見直しを
表側矯正は、歯並びをしっかり整えるために非常に有効な方法ですが、治療中はホワイトニングができないという制限があります。そのため、日常生活の中で着色を予防する工夫や定期的なクリーニングがとても大切になります。一方で、「どうしても歯の色を気にしたい」「矯正中も白い歯をキープしたい」という方には、裏側矯正(舌側矯正)やマウスピース型矯正といった選択肢もあります。これらは矯正中でもホワイトニングが可能で、見た目の審美性を保ちやすい点が大きなメリットです。
矯正治療は長期間にわたるからこそ、「仕上がりの歯並び」だけでなく「治療中の見た目」も快適に過ごせるかどうかが大切です。歯の色や見た目に関するお悩みも遠慮なく相談していただき、自分に合った方法で矯正を進めましょう。