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「ワイヤー矯正からマウスピース型矯正へ移行できる?—適応と進め方を歯科医が解説」


ワイヤー矯正 マウスピース矯正 移行

当院にいらっしゃる患者様から「ワイヤー矯正からマウスピース型矯正に変えたい」というご相談をいただくことがあります。結論からお伝えすると、途中変更が可能なケースもある、というのが実際のところです。ただし、患者様の歯並びの状態などにより左右されるでしょう。今回は、実際に移行が必要になるケースや費用・期間への影響、梅田キュア矯正歯科の考え方などについて、わかりやすくお伝えしていきます。


目次

マウスピース型矯正への移行は患者様に適しているかどうかで決まる

マウスピース矯正 矯正装置 ワイヤー

ワイヤー矯正からマウスピース型矯正への移行は「希望すれば誰でもできる」というわけではありません。なぜなら、患者様一人ひとりに適した治療方法を選択する必要があるからです。もし移行する場合には、治療の中断・やり直しによる装置の追加や治療期間の延長などにより、費用の負担が増える可能性が高くなります。

 患者様の希望ではなく適応かどうかがを優先する理由

矯正治療は、ただ歯並びを整えればいいわけではありません。歯には「噛む」という非常に重要な役割があるからです。そのため矯正治療を行う際には、歯並び以外に下記のような点も考慮が必要になります。

・噛み合わせの安定

・歯の根への影響

・歯を動かす方向

・骨のリモデリング(骨が吸収されてなくなり、新しくい骨ができること)

 

マウスピース型矯正への移行や併用(ハイブリッド矯正)が選ばれる代表的なケース

この項では、マウスピース型矯正への途中変更・併用の適応症を3つご紹介します。

 

Case A:ワイヤーで大きく動かして仕上げをマウスピースで行う場合

基本的にはワイヤー矯正で歯並びを整え、細かい部分の微調整をマウスピース装置で行う方法です。

 

Case B:マウスピース型矯正をして部分的にワイヤーや補助装置を短期間併用する場合

大まかな歯並びはマウスピース型矯正で行い、それでは難しい部分にワイヤーや補助装置を用いる方法です。

補助装置には『顎間ゴム・矯正用アンカースクリュー・アタッチメント』などがあります。

 

※Case A、Bのように複数の矯正方法を組み合わせて行う治療のことを『ハイブリッド矯正』と呼びます。

 

Case C:保定(リテーナー)期にマウスピース型矯正で後戻りを微調整する場合

矯正治療で歯並びを整えた後には『保定期間(ほていきかん)』というものがあります。矯正装置を外した直後は、歯が元の位置に戻ろうとする傾向があるからです。これを『後戻り(あともどり)』といいます。

この時に、マウスピースにより微調整することもあります。

 

このようにワイヤー矯正からマウスピース型矯正に移行・併用することで得られるメリットは、双方のいいところを取り入れられる点です。ワイヤー矯正は装置が目立ちやすいですが、マウスピース装置を取り入れることで見た目の負担を減らせます。またマウスピースは取り外しができるため、食事や歯磨きへの影響がなく、ワイヤー矯正に比べて通院頻度が少ない傾向にあることも利点でしょう。ただし、ご自分でマウスピースを決められた通りに装着する必要があるため、自己管理が苦手な方には適していません。

 

ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の“得意・不得意”を比較

ワイヤー矯正とマウスピース型矯正の違いは、以下の通りです。

矯正装置 比較 得意な動き

ワイヤー矯正が得意なこと

歯を大きく回転させる動きや、挺出(ていしゅつ:歯を引っ張り出す)・圧下(あっか:歯を根元側に引っ込める)などは、ワイヤー矯正の得意とする動かし方です。

また、抜歯スペースのコントロールや難症例などにも適しています。

 

ワイヤー矯正が不得意なこと

様々な歯並びに対応可能な反面、奥歯を後ろに動かす動きが難しく、装置が目立ちやすいという面もあります。ただし、同じワイヤーを使った矯正でも、裏側矯正(舌側矯正)を選択することで審美性を保ちながら歯列矯正を行うことも可能です。さらに歯科医院での調整が必須で痛みが出やすいことや、歯磨きがしにくい、といった点もあげられます。

 マウスピース型矯正が得意なこと

非抜歯で歯列矯正が行えるような歯並びの乱れが軽中等度の場合や、仕上げの微調整などはマウスピース型矯正が得意とするところです。装置が目立ちにくいため審美性を重視したい方や、食事や歯磨きへの負担を減らしたい方に向いています。またワイヤー矯正に比べると歯を少しずつ動かせるため、痛みが出にくいとされています。しかし「全く痛みを感じない」というわけではありません。

 

マウスピース型矯正が不得意なこと

歯並びが著しく乱れているようなケースや、抜歯をしたケースなど、歯を動かす距離が大きい場合には向いていません。また、自己管理が非常に重要で「1日20〜22時間」の装着が必要となります。このように、どちらの治療方法にも向き不向きがあるのです。

 

マウスピース型矯正へ移行する際の条件と流れ

移行する最短・最善のタイミングは、ワイヤー矯正によりある程度歯並びが整った状態であることが多いでしょう。一般的には、ワイヤー矯正を開始してから3~6ヶ月ほどです。ブラケット装置を撤去するタイミングも同様で「マウスピース装置で最終仕上げが可能」と歯科医師が判断した時になります。マウスピース型矯正に移行する際には、基本的に次のような流れで進めていきます。

 

①主治医による診査・診断

お口や歯並び・噛み合わせの状態を把握し、診断します。

 

②計画の再設計

治療計画の再設計を行います。

 

③口腔内スキャン・写真撮影

現在の歯並びの状態などを記録します。

 

④治療計画の立案、アタッチメント・IPRの必要性の有無

治療計画を立て、アタッチメントやIPR(歯のエナメル質の部分を少量削ることにより、スペースを確保する方法)が必要かどうか決定します。

 

⑤マウスピース装置の作製

治療計画に基づいたマウスピース(アライナー)が作製されます。

 

⑥治療開始

マウスピースの装着の仕方や注意点などの説明を受け、治療開始です。

日常生活では、以下の点に注意してください。

 

・飲食時は必ずマウスピースを外す

・マウスピースを外したら清掃してから再装着する

・万が一紛失した場合は、すぐに医院に連絡して指示を仰ぐ

・1日の装着時間(20~22時間)を守る

・1~2週間に一度、自分でマウスピースを交換する

 

⑦定期通院

一般的には1~2ヶ月に一度のペースで通院していただきます。通院時には、歯並びやアタッチメントの状態などの確認をします。

 

⑧保定期間

矯正装置を外した後は、歯を安定させるために保定装置を装着します。

 

 ワイヤー矯正からマウスピース型矯正に移行する場合の費用と期間への影響

マウスピース型矯正への移行時には、追加料金が発生する可能性があります。再計画を立てたり、装置を再作製する費用が生じるからです。総治療期間は延びることも短くなることもあるため、どちらになるかは一概には言えません。患者様一人ひとり異なると思っていただくと良いでしょう。もし移行を検討されているようでしたら、医院の料金案内ページでの確認やカウンセリングでの相談をおすすめします。ちなみに当院で移行をご希望される場合には、事前見積りを提示する方針で行っておりますので、どうぞ気軽にお声がけください。

 

ワイヤー矯正からマウスピース型矯正に移行するメリット・デメリット

マウスピース矯正 がたつき 出っ歯

移行する際のメリット・デメリットには、次のようなものがあります。

 

マウスピース型矯正に移行するメリット

・装置が目立ちにくい

・装置の取り外しが可能なため、歯磨きや装置の清掃がしやすい

・装置によるトラブルは減少傾向にある

・3Dシミュレーションで仕上がりを確認して計画的に進めていくため、精度が高い

 

 マウスピース型矯正に移行するデメリット

・自己管理の負担が生じる

・決められた装着時間通りにつけられないと、計画の遅延や治療のやり直しなどが起こる可能性がある

・難しい症例や適応外の歯並びでは十分な効果が出にくい

 

 マウスピース型矯正への移行に向いている方・向いていない方

ここでは、マウスピース型矯正への移行の向き不向きの目安をあげていきます。ご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 マウスピース型矯正への移行が適応となる方

・歯並びの乱れが軽〜中等度

・歯列矯正の仕上げ段階の方

・自己管理に自信がある方

・職業柄などにより審美性を求める方

 

 マウスピース型矯正への移行が適応とならない方

・歯並びの乱れが著しいケースや骨格的な問題があるなどの難症例

・装着時間の確保が難しい

・虫歯や歯周病の治療が済んでいない

・喫煙者や清掃不良になりやすい

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 移行すると費用はどれくらい増えますか?

→患者様によって異なりますので、詳しくはお問い合わせください。当院では事前見積りをご提示させていただいております。

 

Q2. 治療期間は延びますか?短くなりますか?

→治療期間は、患者様の歯並びの上体によってことなり、延びる可能性も短くなる可能性もあります。

 

Q3. 痛みや違和感はどう変わりますか?

→一般的には、ワイヤー矯正と比較してマウスピース型矯正の方が痛みが少ないとされています。最初は多少違和感が生じますが、徐々に慣れていきますので心配はいりません。

 

Q4. インビザラインなどメーカーの指定はできますか?

→当院でお取り扱いのあるメーカーのご提供となります。

 

Q5. 装着時間を守れないとどうなりますか?

→計画通りに歯が動かず、最悪の場合は治療をやり直すことになってしまう可能性があります。

 

Q6. 抜歯症例でもマウスピース型矯正への移行は可能ですか?

→基本的に抜歯をした場合は、歯を大きく動かす必要があるため、ワイヤー矯正を行うことが多くなります。最終的な微調整や、後戻りの改善などの場合には、マウスピース装置を用いるケースもあります。

 

Q7. 部分矯正をマウスピース型矯正ですることはできますか?

→可能です。ただし、主に前歯の軽度の乱れや隙間がある場合などに限られます。

【マウスピースについてのよくある質問の詳細はこちらをクリック!】

 

当院は「長期的な歯の健康と咬み合わせの安定」を大切にしています

梅田キュア矯正歯科 ワイヤー矯正 マウスピース矯正

今回は、ワイヤー矯正からマウスピース型矯正への移行や費用、期間などについてご説明いたしました。移行する際には、ご自分の希望だけではなく、歯並びの状態に適応できるかどうかが重要です。検討されている方は、ぜひ一度歯科医院で相談してみてください。

梅田キュア矯正歯科では、歯列矯正をお考えの方だけではなく、マウスピース型矯正への移行を希望されている方にも矯正相談を行っております。初回の相談時に、適応となるかや計画・期間・費用、途中変更の可否についてもご説明させていただきますので、どうぞご活用ください。

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