タイトルに書いてある「受け口」と聞くと、テレビのタレント、芸人さんで何人かイメージできる方も多いのではないでしょうか。
漫画やアニメのキャラクター付けなんかにも使われることのある「受け口」という特徴は、非常に印象深い個性の一つではありますが、
それは逆に言えば人から見て「目立つ」ということに他なりません。
様々な個性やその人らしさを容認し受け入れるべきこの現代社会では「他人と違うこと」は決して否定されるべき事柄ではありませんが、
自分のこととなるとやはりそう単純にはいきません。
誰が何と言おうと、人と違うことをコンプレックスに思うのは仕方のないことです。
そういったわけで受け口、即ち「下あごが出て見える」「噛み合わせが上下逆になっている」といった悩みを抱えている方は世の中には少なくありません。
この受け口は矯正で改善できるのでしょうか、はたまたする必要があるのでしょうか。
まず前提として、この受け口が抱える問題について整理しましょう。
一つは先程からお話ししている「見た目」の問題があります。
ご相談に来院される方はまず大なり小なりこの自覚があっていらっしゃいます。
しかし自覚はあれども軽度であったり、または個性として前向きに受け入れて治療の必要性を感じていなかったりする方もいらっしゃるかと思います。
受け口の抱える問題は勿論見た目だけではありません。
もう一つの問題は「噛み合わせ」です。受け口、特に反対咬合と呼ばれる、上下の歯の位置が通常と逆になっているケースでは、
それぞれの歯にかかる嚙む時の力に大きな問題が生じます。
本来人間の歯の形というのは、正しい歯並びと噛み合わせで噛んで力が加わった場合に、
最も歯とその周りの歯周組織(骨やクッションとなる軟組織)に負担がかかりづらいように設計されています。
しかしその反面、その噛む方向(縦の力)以外からかかる力にはあまり強くできていません。
この歯にかかる適切な力の方向というのは歯の形によってほぼ決まってくるので、
その歯が生える方向や噛みあう場所が変わってくれば、噛んだ時に適切な力はかからなくなってしまいます。
反対咬合では噛んだ時上下の歯に対し、その歯にとっての縦の力より横の力がかかりやすい状態になっています。
このような良くない力が歯にかかり続ける状態を放置しておくと、歯周組織に負担がかかることによる歯周病などの口腔疾患の発生率の増加、
頭痛や肩こりなど咬み合わせが原因になる関連疾患の悪化といった問題を抱えることになります。
また、反対咬合まではいかなかったとしても、下あごが大きい方は嚙み合わせが全体的に少し前に出ている方がほとんどですので、
それが原因で歯並びが悪くなっていたり、歯に無理な力がかかっていたりするケースは少なくありません。
受け口の治療方法は重度の場合は骨を削る外科手術を必要とすることがありますが、軽度であれば歯並びの治療だけで改善できる場合もあります。
先ずは自分の問題を確認するためにも、心当たりのある方は一度相談にいらして頂くことをお勧めいたします。