大人になっても乳歯がまだ残っている方、意外と多いです。乳歯がまだ残っている場合でも歯列矯正は可能なのでしょうか…?
結論から言うと、ほとんどの場合は可能です。(※例外あり) ですが、通常の歯列矯正の流れは通常とは少し異なります。乳歯がある場合の歯列矯正について、乳歯が残っていることで何かしらのリスクや危険性があるのか解説していきますので、ぜひこちらの記事をご覧ください。
目次
乳歯とは
赤ちゃんから子供の間に生える最初の歯で、一般的に上下合わせて20本あります。乳歯は生後6か月ごろから生え始め、3歳頃までに生えそろうのが一般的です。これらは「一時歯」とも呼ばれており、後に生え変わる永久歯に対して一時的な役割を持つ歯です。乳歯は5歳から12歳頃にかけて少しずつ抜け、永久歯に生え変わります。しかし、まれに永久歯が生えてこない(先天的欠如)
や永久歯が埋まってしまう(埋伏歯)などの理由で、乳歯が残るケースもあります。この場合、大人になっても乳歯が残ることがあります。
大人になっても乳歯が残こっているのはなぜ?
大人になっても乳歯が残っている理由はいくつか考えられます。主な原因はいくつかあります。
①先天的な永久歯の欠如(先天欠如)
・通常、乳歯は永久歯が下から生えてくることで自然に抜け落ちますが、永久歯が先天的に欠如している場合は乳歯が残ってしまいます。
・永久歯が形成されていない為、乳歯が抜けることがなくそのまま残ってしまいます。
②埋伏歯(まいふくし)
・永久歯が骨の中に埋もれてしまっていて正しく生えてこない埋伏歯の場合も乳歯自体が本来の役割を果たしている為、自然には抜け落ちずにそのまま残っていることがあります。
③悪い歯並び、スペース不足
・歯並びが悪く、永久歯が開生えるスペースが十分でなければ乳歯は抜けずに残っています。
・歯列が密集している場合、顎が元々小さい場合も乳歯が抜けないまま残るケースもあります。
④過剰歯
・通常の歯の本数よりも多く生えてしまう歯のことで、隣の歯の正常な萌出を妨げてしまうことがあり、その歯が永久歯の生え変わりに影響を及ぼし、乳歯が残ることがあります。
⑤乳歯の根がしっかりしている場合
・まれに乳歯の根が永久歯の圧力で溶けず、しっかり残っている場合があり、乳歯が抜けずそのまま残ることがあります。
乳歯を残したままだと起こる危険性やリスク
①隣接する歯への影響
乳歯が抜けずに残ると、隣接する永久歯の位置に影響を及ぼし、歯列全体のバランスが崩れる場合があり、歯が過剰に動くことで隣の歯に圧力がかかり、歯並びがさらに悪くなるケースも考えられます。
②先天的な永久歯の欠如(先天欠如)による問題
永久歯が先天的に欠如している場合も乳歯が長期にわたり残ることがあり、乳歯が劣化し、機能的に弱くなるリスクが高いです。乳歯が将来的に抜けた場合、スペースができてしまい歯がない見た目や他の歯が倒れてきてしまうリスクがあるため、インプラントやブリッジ、義歯などの処置が必要になります。
③歯列や噛み合わせの問題
乳歯が残ることで永久歯が正しい位置に生えることが出来ず、歯列不正や噛み合わせの問題が発生することがあります。噛み合わせが悪いと、顎関節や他の歯に過剰な負担がかかり、痛みや顎関節症の原因になることもあります。
④虫歯や歯周病のおリスク
乳歯と永久歯か歯の構造が異なり、永久歯に比べて乳歯は構造が弱いです。長期間使用することで歯のエナメル質が歯と歯で擦れ合い、虫歯や歯周病にかかりやすくなります。特に成人期以降に残っている乳歯は、歯周組織が弱くなる傾向があり歯周病のリスクも高まってしまいます。
⑤見た目への影響
乳歯は永久歯よりも小さいので、歯列に違和感が生じ見た目に影響してきます。
乳歯が残っている場合の歯列矯正方法
乳歯が残っている場合、歯列矯正は可能ですが一体どのようにして歯を動かすのか、乳歯はどうなるのか気になりますよね。上記のリスク面から乳歯を残しておくことは歯にとっても負担がかなり大きいですね。乳歯がいずれ抜けてしまうリスクもある為、早めの歯列矯正、インプラントやブリッジなど補綴治療が必要になるケースもあります。
①乳歯の温存を前提にした矯正
先天欠如や永久歯が埋伏している場合、乳歯を温存したまま矯正を行うケースがあります。この場合、乳歯を周りの永久歯と調和させて並べる治療計画が立てられます。
※乳歯の寿命は通常短いため、長期的な計画としては将来的な抜歯やインプラント治療を視野に入れることもあります。
②乳歯を抜歯し、隙間を埋める矯正
乳歯が矯正の妨げとなっている場合や、周囲の歯を理想的な位置に動かす必要がある場合には、乳歯を抜歯し、隙間を矯正で埋める方法が取られます。
③インプラントの併用
乳歯を抜いた後に永久歯がない場合、インプラントを使って歯のスペースを補うことができます。ただし、インプラントは顎の骨が十分に成長した後(20歳以降)に行うのが一般的です。そのため、若年層ではまず矯正治療を行い、インプラントは成人後に実施することがあります。
④ブリッジや義歯の併用
乳歯を抜歯した後にスペースを確保する場合、ブリッジや義歯(入れ歯)を用いることもあります。特に、インプラントが難しい場合や永久歯の欠如が複数ある場合に選択されます。矯正と組み合わせて、歯列全体のバランスを整えながら治療を進めます。
⑤埋伏歯の牽引
永久歯が骨の中に埋まっている場合には、埋伏歯を外科的に牽引して矯正することもあります。牽引により永久歯を正しい位置に導き、乳歯を抜いて通常の歯列を形成する治療が行われます。
⑥マウスピース矯正
乳歯を残したまま行う場合や、複雑な治療を避けたい場合、マウスピース矯正(インビザラインなど)が選ばれることもあります。マウスピース矯正は、動かす力がワイヤーに比べると比較的穏やかで、乳歯にも対応しやすいことがあります。ただし、ケースに応じて適応できるかの確認が必要です。確認方法は矯正専門歯科など歯医者で精密な検査が必要です。
乳歯が残っている場合に適応する矯正装置は?
①マウスピース矯正(インビザラインなど)
乳歯が複数残っている場合や、永久歯の生え変わりがまだ完了していない場合でもマウスピースだと矯正可能なケースが多いです。ただ、乳歯が将来的に抜ける見込みがある場合には、継続的に装置を作り替えることが必要になる場合があります。目立ちにくく、乳歯を残し矯正治療をする治療計画の場合は、乳歯自体に対する負担が少ないです。
②部分矯正装置(部分的なブラケット矯正)
全体的な矯正が不要で、乳歯の周りの限られた範囲のみを整える場合に使用されます。部分的に調整が必要なケースや、特定の歯列の乱れを整える場合に有効です。乳歯や隣接する永久歯にのみ必要な範囲だけに装置を付けるため、治療期間が短縮されることが多く、コストも抑えられます。
③ワイヤー矯正(ブラケット矯正)
乳歯が数本残っている場合でも全体の歯列を矯正する必要があるときに適しています。特に、乳歯を抜歯して永久歯を移動させる計画がある場合には、有効な選択肢となります。幅広いケースに対応可能で歯列全体の調整や、精密な歯の移動が行えます。
④リンガルブラケット(舌側矯正装置)
乳歯が残っていても裏側に装着するため審美性を保ちながら矯正したい場合に適しています。ただし、乳歯の小ささや耐久性に注意が必要です。 特殊な形状でカスタマイズされるため、乳歯にも装着が可能な場合があります。
⑤バンドとリテーナー
歯を動かすというより、現に乳歯が永久歯の役割を果たし、すでに適切な位置にある場合や、簡単な位置調整のみで済む場合に用いられます。乳歯を長期間保つことを目指す場合に、歯並びの維持がしやすくなります。
まとめ
乳歯が残っている場合は近くの歯医者さんなどで診てもらいましょう。乳歯をこのままにしておくことでリスクが生じる場合は歯列矯正を検討してみてはいかがでしょうか。また、歯並びが気になっているが中々歯列矯正に踏み出せていない…という方や、歯列矯正が気になっている方、まずは梅田キュア矯正歯科の無料カウンセリングでご相談ください。