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矯正途中で装置を変えることはできる?ワイヤーからマウスピースへ移行できるケースとは


ワイヤー矯正 マウスピース矯正 移行

矯正治療を始めてしばらく経つと、「やっぱり目立たないマウスピース矯正に変えたい」「食事や歯磨きのときにワイヤーが邪魔で不便だ」と感じる方は少なくありません。特に社会人や人前に出る機会が多い方にとっては、見た目や生活の快適さから「ワイヤーよりマウスピースのほうが良いのでは」と思い直すこともあるでしょう。では実際に、ワイヤー矯正からマウスピース型矯正(インビザラインなど)へ途中で切り替えることはできるのでしょうか。結論から言うと、移行できるケースもありますが、それは患者さんの希望だけで決まるものではありません。矯正治療は、精密な検査データと治療計画に基づいて進められるため、装置の変更は歯科医師が「医学的に可能」と判断した場合にのみ提案されるものです。


実際のご質問と医院からの回答(実例)


矯正治療を受けている患者さんから、よくいただくご相談のひとつに、
Q:「ワイヤー矯正からマウスピース型矯正(MP)に移行できますか?」というものがあります。

当院の回答は、
A:「ワイヤー矯正からマウスピース型矯正に移行することはありますが、患者様の希望だけで移行しているわけではありません。あくまで、医院側が『マウスピースのほうが適している』と医学的に判断した場合に限り、ご提案しています。」というものです。

つまり、「変えたいから変えられる」という単純な話ではなく、歯の動き方や治療の進み具合によって可能かどうかが決まるということです。

今回は、このご質問をもとに、なぜ希望だけで移行できないのか、医師がどのように判断しているのか、実際に移行が検討されるケースとは?といった点を、わかりやすく解説していきます。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正の違いをおさらい

ワイヤー矯正 マウスピース矯正 違い矯正治療にはいくつか方法がありますが、その代表がワイヤー矯正とマウスピース型矯正です。どちらも最終的な目的は「歯を正しい位置に動かしてきれいな歯並びをつくること」ですが、使う装置や得意な症例には大きな違いがあります。

ワイヤー矯正の特徴


・歯の移動力が強い

ブラケットという小さな装置を歯に取り付け、ワイヤーを通して力を加える方法です。歯を効率よく動かせるため、デコボコが強い歯並び(叢生)や深いかみ合わせ、抜歯を伴うケースなど幅広い症例に対応できます。

・治療の精度が高い

ワイヤーの力を細かく調整できるため、噛み合わせまでしっかり整えることができます。将来的に安定した歯並びを得たい方、複雑な歯列を根本から改善したい方に適しています。

・装置が目立ちやすい

装置が歯の表側につくため目立ちやすいのが難点です。また、食事中に食べ物が詰まりやすかったり、歯磨きがしづらかったりと、口腔ケアに工夫が必要になります。

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マウスピース型矯正の特徴


・透明で目立ちにくい

透明なマウスピースを装着するため、矯正中だと気づかれにくいのが大きなメリットです。接客業や人前に立つ機会が多い方からの人気が高い治療法です。

・取り外しができる

食事や歯磨きのときに外せるため、従来のワイヤー矯正よりも口腔内を清潔に保ちやすいのが特徴です。

・症例が限られる

ただし、マウスピース型矯正は万能ではありません。歯を大きく動かす必要がある場合や、歯が大きくねじれている場合には対応が難しいこともあります。基本的には軽度〜中程度の歯並び改善に適している方法です。

・自己管理が必須

マウスピースは1日20時間以上の装着が必要です。自由に外せる反面、装着時間を守れないと治療が進まないというリスクもあります。自己管理が得意な方には向いていますが、装置を外したまま忘れてしまう方には不向きかもしれません。

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移行できる場合とできない場合の判断基準

マウスピース矯正 矯正装置 MP


医師が「マウスピースで十分対応可能」と判断した場合のみ
マウスピース型矯正は、歯を大きく動かすよりも仕上げや微調整に向いています。そのため、以下のような条件を満たす場合に限り、ワイヤー矯正からの移行が可能になります。

・歯列の大部分がすでに整っている

ワイヤー矯正で大きな歯の移動や複雑な調整を終えており、残りは歯の角度や位置を微調整する段階であれば、マウスピースに切り替えて仕上げることができます。

・かみ合わせに大きなズレがない

奥歯の噛み合わせや顎の位置関係に問題がなく、仕上げ段階に入っている場合は、マウスピースで十分な結果を得られることがあります。

自己判断での切り替えができない理由

マウスピース矯正 ディテイナー移行 基準「見た目が気になるから」「取り外せる装置のほうが便利だから」といった理由だけで、ワイヤー矯正からマウスピース型矯正に切り替えるのはおすすめできません。矯正治療は、最初の診断で「どの歯をどの順番で、どのくらい動かすか」という計画を立て、それに沿って進めていきます。途中で装置を変えてしまうと、この計画が崩れてしまい、思った通りの仕上がりにならないリスクがあるのです。

さらに、装置を変える場合は新たに型取りやシミュレーションを行う必要があるため、治療期間が延びたり追加費用がかかったりすることもあります。装置を何度も変えると歯や歯ぐきにかかる力が安定せず、余計な負担を与える恐れもあるのです。

医院側が「移行」を判断するタイミングと理由


ワイヤー矯正からマウスピース型矯正に切り替わるのは、基本的に医院側が必要だと判断した場合に限られます。では、どのようなタイミングや理由で移行が行われるのでしょうか?

仕上げ段階の微調整にマウスピースが適している場合


矯正治療の終盤で歯並びがほぼ整った段階では、細かい位置や角度を整える「微調整」が必要になります。この仕上げにはマウスピースも対応しており、ワイヤーを早めに外せるため見た目の負担が減るのもメリットです。さらに、取り外しできるため食事や歯磨きも快適に行えます。ワイヤーで全体を動かし、仕上げをマウスピースで行うことで効率よく治療を終えられるケースもあります。

装置トラブルや装着が難しいとき


もう一つの移行理由は「装置トラブル」や「体質による装着の難しさ」です。金属アレルギーのある方には金属を使わないマウスピースが有効ですし、ブラケットが外れやすい・ワイヤーが曲がるといった不具合が続く場合も切り替えが検討されます。さらに、発音のしづらさや口内炎など生活への負担が強い場合、マウスピースへ移行することで快適に治療を続けられるケースもあります。

矯正装置は「選べる」ものではなく「適している」ものを使うべき理由

医師の判断 矯正装置 歯並び

治療結果に最も適した手段を選ぶことが大切


マウスピース型矯正は「目立たない」「取り外せる」という大きなメリットがありますが、すべての症例に対応できるわけではありません。例えば、歯の回転や大きな移動が必要なケースでは、ワイヤー矯正のほうが確実です。
逆に、治療の終盤の微調整や軽度の歯列不正には、マウスピース型矯正の柔軟さが役立つこともあります。

つまり、「見た目や便利さ」で装置を選ぶのではなく、治療のゴールに最も早く正確にたどり着ける方法を選ぶことが大切です。

医師とのコミュニケーションが重要


もちろん、患者さんの「できれば目立ちにくい方法がいい」「取り外せる装置がいい」といった希望は大切にすべきものです。ただし、最終的な判断は、検査データ・歯の動きのシミュレーション・治療計画をもとに歯科医師が行います。

だからこそ、治療を始める前や途中で不安や要望があれば、遠慮せずに率直に伝えることが重要です。
患者さんの希望と医学的な判断をすり合わせることで、見た目と機能の両方を満たすベストな治療計画が決まります。

まとめ


ワイヤー矯正からマウスピース型矯正への移行は、誰でも希望すればできるわけではありません。歯並びの状態や治療の進み具合など、条件が整った場合に限り、歯科医師が「マウスピースでも十分対応できる」と判断したときのみ切り替えが可能です。

「目立たないから」「外したいから」といった理由だけで装置を変えると、治療計画が崩れてしまい、仕上がりや治療期間に悪影響を及ぼすリスクがあります。大切なのは、見た目や生活スタイルの希望と医学的な根拠をバランスよく組み合わせることです。

治療途中でマウスピースへ変更したいと思った場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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