「歯並びが気になるから矯正治療をしたい!」そんなとき目立ちにくい矯正治療である「マウスピース型矯正」を考える方も少なくありません。しかし、マウスピース型矯正中にむし歯になることが心配かもしれません。そこで今回は、マウスピース型矯正の特長やむし歯になった時の対応、むし歯にならないためにできることなどを解説します。
目次
マウスピース型矯正とは?
マウスピース型矯正は、歯に透明のトレーを装着して歯並びを整える方法です。当院ではデジタルスキャンにより歯の型取りを行い精密に歯並びの検査をして、矯正治療の計画を立案いたします。デジタルスキャンでデータ化できるため、患者様に事前に矯正治療中や矯正終了時の歯並びを3Dの画像でみていただけます。また、粘土のような素材を用いた歯の型取りではないため、「オエッ」となる嘔吐反射が強い方も安心して矯正治療が進められるのも特徴です。トレーが完成したら、注意事項と取り扱い方法を説明しご自分で管理していただきます。基本的には、歯磨きや食事以外の時間20時間以上はトレーを歯に装着していただく必要があり、外しておく時間が長くなると悪い歯並びに後戻りしてしまうことがあります。装置は透明なので、装着中も目立ちにくく人気を集めていますよ。自己管理は必要ですが、仕事の都合でワイヤー矯正という固定式の矯正方法が選択できない方も美しい歯並びをあきらめることなく治療ができます。矯正治療がはじまりましたら、2週間に1回のペースでトレーを新しいものに交換していただきます。トレーはまとめてお渡しすることができますので最大2ヶ月に1回くらいのペースで通院できます。
マウスピース型矯正のメリット
ここからはマウスピース型矯正のメリットを解説します。
周りから矯正治療中と気付かれにくい
マウスピース型矯正のトレーは透明なので、装着中に気付かれにくいのが嬉しいポイントです。食事中は装置を外すことができるため、友達や同僚から矯正治療をしていることに気付かれないかもしれません。
歯と装置を清潔に保ちやすい
装置は取り外し式のため、歯磨きの際は普段通りでかまいません。健康な歯や歯ぐきであれば、矯正治療をするからといって装置に合わせてセルフケアのテクニックを高めることなく、普段通り過ごしていただけます。
外した装置も清掃がしやすく衛生的に使用できます。
痛みが少ない
当院のマウスピース型矯正は「インビザラインシステム」を採用しており、インビザライン独自の素材を用いて装置が作られています。患者様の歯や歯ぐきの状態に合わせてぴったりフィットするのはもちろん、固定式の装置よりも痛みを軽減することができるといわれています。「痛みが少ないってことは歯が動いてないの?矯正治療する期間が長いの?」と不安になるかもしれません。ワイヤー矯正とは異なり、マウスピース型矯正では歯並びと噛み合わせを同時に整えることができるため治療期間が長くなるといったデメリットもほとんどありません。
マウスピース型矯正のデメリット
次にマウスピース型矯正のデメリットを解説します。
長い時間装着しないと後戻りする
長い時間マウスピース型矯正のトレーを装着していないと、歯が移動してしまい悪い歯並びに後戻りするリスクが高まります。そのため、食事をして歯磨きをしたらできるだけ早くマウスピース型のトレーを装着することが大切です。
紛失のリスクがある
食事をする際に装置を外せることがメリットになる一方、そのまま装置を紛失するリスクがあります。マウスピース型のトレーをティシュに包んでいることを忘れて、ごみと一緒に捨ててしま
うなどのトラブルが考えられます。他にも、自宅で装置を外している間にペットに噛まれてしまい破損するなどさまざまな理由でトレーの作り直しが必要になるケースも。このようなことが引き起こらないようにトレーは専用の保管ケースで管理するのがおすすめです。
マウスピース型矯正中のむし歯の対応
マウスピース型矯正中にむし歯になってしまっても、矯正治療は続けられます。並行してむし歯の治療を行うことがありますので、参考にしてください。
CO
歯の表面に白濁ができたむし歯の初期段階の場合は、穴が空いておらず痛みも伴わないため、自然治癒が期待できます。この場合は、歯の表面にフッ素を塗布して以下の効果を得ましょう。
・むし歯菌の活動を抑制
・むし歯に強い歯に育てる
・初期むし歯の治癒を促進
また、毎日のセルフケアも大切ですので歯磨き指導を行うこともあります。
C1
歯の表面のエナメル質までのむし歯をC1と呼びます。表面に小さな穴が空いているのがわかりますが、痛みなどの自覚症状はあまりありません。このような場合は、むし歯に感染した歯質を削り歯の色に合う歯科用プラスチックを詰める治療を行います。治療は1回で終えられますので、治療後からマウスピース型矯正のトレーを装着していただいてかまいません。
C2
エナメル質の下にある象牙質と呼ばれる層までむし歯が進行した状態をC2と呼びます。この状態になると冷たいもがしみるようになり自覚症状が増えるため、むし歯に気付く方
も多いでしょう。この場合は、むし歯に感染した歯質を削り歯に歯科用プラスチックを詰める治療を行います。むし歯の感染部分が広い場合は、歯の型取りを行い部分的な詰め物を製作します。保険治療では金属のタイプ、自由診療では白くて目立ちにくいタイプを選択できますよ。上下の噛み合わせを整えて問題なければ、マウスピース型矯正を続行できます。ただしケースによっては、仮の詰め物だけしてマウスピース型矯正が終わってから最終的な詰め物の型取りを行うこともありますよ。
C3
歯の神経までむし歯になった状態をC3と呼びます。この場合は、むし歯に感染した歯質を削るだけではなく歯の神経や血管を細い器具で取り除く「根管治療」を行います。ご自分の歯を残しておくことができる治療方法です。このようなケースでは、歯の頭の部分を削る量が多くなるため、被せ物を最終的に装着していただきます。マウスピース型矯正のトレーが装着できなくなる可能性がある場合は、仮の詰め物を行い矯正治療が終了してから被せ物を製作します。歯並びに合わせて精密に歯の形や色を決定できますよ。
C4
歯の頭の部分がほとんど崩壊してしまい、歯の根っこだけが残っている状態をC4と呼びます。何もしていなくても痛みを強く感じ、見た目でもむし歯であることがわかります。この状態の場合は、根管治療をして歯を保存するかもしくは歯を抜く治療を行います。歯の神経が死んでいる場合は痛みを感じることがないですが放置しておくと歯の根っこの先端に膿が溜まり顎の骨まで感染が広がる恐れがありますので早めに治療をしましょう。マウスピース型矯正をしていれば、ここまで放置することはないと思いますがC4になった場合は歯を抜くリスクが高まるため、美しい歯並びをめざすためにもむし歯を早期発見・早期治療しましょう。
マウスピース型矯正中にむし歯にならないために
マウスピース型矯正中にむし歯にならないためには、歯科医師の指示通り通院することが大切です。歯科医院では矯正治療中の歯並びはもちろん歯や歯ぐきの健康状態もチェックしています。歯科医師や歯科衛生士といった国家資格のある歯のプロフェッショナルがチェックすることで自分では見逃しやすいむし歯を早期に発見することができます。ご自宅では適切なセルフケアを行うことで歯の健康を保つことができます。むし歯はもちろん歯周病にかかるリスクも低減できるため、適切なセルフケアを身に付けておきましょう。