「口の周りがいつもだるい」「治療を続けても首・肩のコリや痛みが治らない」など、謎の不調にお悩みではありませんか?噛み合わせのトラブルはお口のなかの問題ですが、結果的に全身の健康を悪くしてしまうことがあります。引き起こされるトラブルや正しい対策方法を知って、改善に役立てましょう。
目次
噛み合わせが悪いことでおこる主なトラブル
噛み合わせが悪い状態を放置するのは、さまざまなトラブルを引き起こす原因です。理由も含めて以下でくわしくみていきましょう。
顎関節症
噛み合わせが崩れていると「噛みやすい部位」しか使わなくなるため、その結果使用する筋肉の負担のバランスが崩れて顎関節周辺が痛くなったり、開口障害がおこりやすくなったりします。
顎関節症は一度発症すると治るまでに時間がかかる傾向にあり、場合によっては手術が必要です。開口障害があると食事やお手入れがしにくくなるほか、奥歯の歯科治療やクリーニングなども難しくなるので、注意しなくてはいけません。お口を清潔に保てない状態が続けば、それだけ別のトラブルも発生しやすくなります。
歯のヒビや破折
噛み方が偏っていると特定の歯にかかる負担が大きくなり、ヒビや破折を引き起こすことがあります。とくに過去に神経を取っている歯は脆く、痛みを感じないため気づかないうちにヒビや破折が起こっているケースも珍しくありません。発見が遅れると根っこの先に膿が溜まる歯根膿胞につながったり、完全に破折している場合は抜歯での対応しかできない場合もあります。
お顔の歪み
口周りの筋肉にかかる負担のバランスが崩れると、お顔が左右非対称になります。負担が多い側は片頭痛にもなりやすいので注意しましょう。
首・肩のこりや痛み
口周りの筋肉は首や肩ともつながっており、負担が多ければそれだけ首や肩のこりや痛みが発生するリスクが上がります。接骨院での治療やマッサージを受けているのに首や肩の痛みがなかなか改善しない、慢性的なこりや痛みがあるという方は、一度噛み合わせもチェックしてみるといいでしょう。
姿勢の崩れ
体はコリや痛みといった問題を無意識に補うように動くため、負担が大きい場所が一箇所でもあるとその周辺もトラブルにつながるリスクが高くなります。首・肩のこりや痛みがあるとそれにつながる背中や腰のトラブルが起こりやすくなり、その結果姿勢の崩れにつながるケースも少なくありません。姿勢の崩れは、噛み合わせが余計に悪くなる原因でもあります。
胃腸の負担増加
噛み合わせが悪いと、噛むことがストレスに感じてよく噛まないで飲み込むようになります。その結果胃腸の負担を増加させてしまい、栄養不足や胃腸障害をひきおこす可能性があるので注意しましょう。また、うまく噛めない状態は歯ごたえのあるものを好まなくなる原因の一つです。歯や歯ぐきの健康に必要な刺激が送られなくなり、虫歯や歯周病といったトラブルにもつながりやすくなるほか、脳の活性化を促すことができないためアルツハイマー型認知症のリスクを上げてしまうことが分かっています。
なぜ噛み合わせは悪くなる?5つの主な原因
噛み合わせは、急に悪くなるものではありません。年単位で変わるものであるため「気づいたら噛みにくくなっていた」という方が多い傾向にあります。
噛み合わせが悪くなる原因を正しく理解して、予防に役立てましょう。
乳歯の早期脱離や放置
乳歯は噛む機能だけでなく、永久歯が正しい位置に生えてくるための道標としての役割も持っています。虫歯や外傷などにより生え変わりの時期よりも早く抜けてしまうと、永久歯が間違った位置に生えてくる可能性が高くなるので注意が必要です。
生え変わりの時期になっても乳歯の根っこがうまく吸収されずにグラつきが見られない場合も、永久歯が内側や外側にズレて生えてくる可能性があります。
偏った食生活
食べ物を噛む刺激は顎骨の成長に欠かせないものであり、6歳から12歳の顎骨の成長期にどのような食生活を送るかによっても将来の歯並びが左右されます。
噛み応えのあるものを避けていると、顎骨がうまく成長せずに小さい状態のまま永久歯が生えてくるため、並びきらずに叢生(デコボコ)になるケースがほとんどです。歯並びが崩れれば全体でバランスよく噛むのが難しくなるので、乳歯のころからの予防が重要だといえるでしょう。
口周りの癖や噛み癖
長期の指しゃぶりや舌を前に出す癖、ボーっとしたときに口が開いてしまう癖、口呼吸などがみられると、歯に余計な圧がかかったり反対にきれいな歯列を保つための圧が不足して将来の歯並びが崩れる傾向にあります。また、偏った噛み方も口周りの筋肉の負担のバランスが崩れて、結果的に歯並びや噛み合わせを悪くしてしまいますので改善を心がけましょう。
歯ぎしりや食いしばり
歯に強い力がかかる歯ぎしりや食いしばりは、歯並びが崩れる大きな原因です。無意識にやってしまう方が多く、顎のだるさや痛みがでてから気づくケースも少なくありません。歯ぎしりや食いしばりの傾向がある方は、早めにマウスピースでの対策をおすすめします。
矯正治療後の後戻り
並べた歯並びを一定期間キープするための保定装置を正しく使わなかったり、歯並びが崩れる癖を放置していたりすると、後戻りがおこって再び噛み合わせが悪くなります。再治療となると費用や時間がまた必要になりますので、保定装置は正しく使用し、口周りの癖は治療前もしくは治療中に直しておくようにしましょう。
噛み合わせが悪い場合の対処法は?
噛み合わせが悪い原因は人によって異なり、簡単な処置で済む場合もあれば全体の調整が必要なケースもあります。問題が一箇所にしかないとしても、放置することで範囲が広がる可能性がありますので、気になる方は早めに歯科医院へご相談ください。歯科医院では、以下の方法で治療を行っています。
噛み合わせ面を削って高さを調整する
赤や青の紙を噛んでもらい、強くあたっている部位を調べて削る方法です。場合によっては大きく削る必要があるため、被せ物や詰め物をしているケースではそれらの作り直しを、天然歯であれば別の方法をおすすめすることがあります。
歯列矯正で歯の位置を整える
噛み合わせのズレが歯並びが原因である場合は、歯列矯正が向いています。歯を削ることがほとんどないため天然歯を傷つけたり知覚過敏の発症や悪化を回避でき、かつお手入れがしやすくなることで虫歯や歯周病予防にも役立ちます。
成人矯正は、虫歯や歯周病といったトラブルがなければ何歳からでも始められるので、気になっている方は一度カウンセリングを受けてみるといいでしょう。
噛み合わせを整えるのに向いている装置は?
歯列矯正で使用する装置はタイプによって強みが異なり、噛み合わせの調整には1本1本の歯を固定して微調整ができる「ワイヤー矯正」がおすすめです。マウスピース型矯正でも歯並びを整えることは可能ですが、歯列全体を覆うタイプの装置を使用するため調整に時間がかかることがあります。
ワイヤー矯正には表側矯正、裏側矯正(舌側矯正)、ハーフリンガル矯正があり、それぞれ特徴が異なります。当院では、治療前のカウンセリングで各装置の特徴やメリット、デメリットをくわしくお伝えし、最適な治療法を知りたい方には精密検査をおすすめしております。
【裏側(舌側)(リンガル)矯正について詳しくはこちらをクリック】
歯列矯正で噛み合わせを治したい方は当院までご相談を
噛み合わせが悪い状態を放置していると、お口のなかだけでなく全身の健康にも悪い影響を与えます。乳歯の虫歯や食生活、口周りの癖によって永久歯列の状態が大きく左右されるため、小さなお子様がいらっしゃる方はその点にも注意しましょう。
すでに噛み合わせが悪い場合は、噛み合わせ面を削って調整する方法や歯列矯正で改善が可能です。「今ある歯をできるだけ削りたくない」という方は、ぜひ一度歯列矯正を行っている当院までご相談ください。