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矯正装置の装着時期はどう決まる?抜歯・非抜歯と虫歯治療の関係も解説


装置装着 流れ 解説

はじめに
「非抜歯なら早く装置がつけられるのでは?」という疑問

矯正治療をご検討中の患者様からよくいただくご質問のひとつに、「非抜歯ならすぐに矯正装置を装着できますか?」というものがあります。歯を抜かずに治療が進められるのであれば、装置装着までの期間も短縮できそうに感じますよね。しかし、「非抜歯の場合、すぐ装置がつけられる」とは限りません。矯正装置を装着するまでには、精密検査や治療計画の立案、オーダーメイドでの装置製作など、必ず必要な準備が伴います。さらに、虫歯治療や歯周病治療、親知らずの処置が必要なケースでは、その分スタート時期が前後することもあります。そこで今回は、矯正装置をつけるまでの流れや、抜歯・非抜歯の違い、虫歯治療との関係や注意点について、丁寧に解説します。


 実際のご質問と医院からの回答(実例)

Q:「非抜歯で矯正する方が装置装着は早いですか?」

A:「非抜歯の方が早く装置をつけられる場合もありますが、装置はすべてオーダーメイドで製作します。そのため製作期間が必要です。また、親知らずの抜歯や虫歯治療の有無によって、装置装着のタイミングは大きく変わります。」

そのため、歯を抜かなくても、装置をつけるまでには少し準備が必要なことがあります。

非抜歯・抜歯による装着スケジュールの違い

 非抜歯矯正の基本フロー

精密検査 矯正開始 写真

非抜歯矯正では、抜歯をしない分、治療開始までの準備が比較的シンプルです。

STEP1 初診相談

STEP2 精密検査(セファロ・CT・口腔内スキャンなど)

STEP3 診断・治療計画の説明

STEP4 矯正装置のオーダーメイド製作

STEP5 矯正装置装着・矯正スタート

矯正治療開始までスムーズに進めば、1〜1.5ヶ月程度で装置をつけられることもあります。

 抜歯が必要な場合の流れ

抜歯を伴う矯正の場合は、装置をつける前に必ず抜歯処置を行います。

・抜歯

・回復期間(1〜2週間)

がかかり、治療計画の説明を聞いて治療に納得していただいた後に行います。

矯正装置をオーダーメイド製作している間に抜歯の処置を行うことが可能です。

その後、矯正装置を装着して矯正治療がスタートします。

※ただし、親知らずの4本抜歯が必要な場合など、1度に抜歯をすることが難しい場合には期間が少し変動することがあります。

【歯列矯正の流れについて詳しくはこちらをクリック】

矯正装置はオーダーメイド
その理由と期間

装置の種類と製作工程

矯正治療で使う装置の多くは、市販の既製品ではなく、一人ひとりの歯並びやかみ合わせに合わせて設計されるオーダーメイドです。

その理由は、患者様の歯列が一人ずつ異なり、適切な力のかけ方や歯の動かし方が異なるためです。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正 矯正装置 治療流れ

表側矯正・裏側矯正(舌側矯正)

ブラケットは歯の表面に接着して使いますが、歯の角度や大きさは人によって違います。そのため、装置を付ける位置を細かく計算し、的確に設計します。

特に裏側矯正では歯の裏面の凹凸が大きいため、より精密な調整が必要です。

 

マウスピース型矯正

マウスピース矯正 矯正装置 治療手順

 

専用の3Dスキャナーで口腔内を読み取り、コンピュータ上で歯の動きをシミュレーションします。

その後、治療計画に沿って数十枚のアライナーを一度に製作して矯正を進めます。アライナーはすべて順番通りに装着するため、最初の準備に時間がかかります。

さらに近年はインダイレクトボンディング法という、ブラケットを模型上で配置し、その位置を患者さんのお口の中に再現する方法が普及しています。これにより精度が高まりますが、その分準備工程が増えるため、装置完成までに一定の期間が必要です。

 

製作には最低でも2〜3週間かかることも

矯正装置の製作には、技工所や専門機関が関わります。デジタルデータの解析や設計、技工士による手作業の仕上げ、海外の工場やラボに発注するケースもあり、輸送時間が発生する場合もあるこのような工程があるため、装置完成までに最低でも2〜3週間程度の時間が必要になります。症例や装置の種類によっては、1ヶ月以上かかる場合もあります。つまり、たとえ「非抜歯で矯正できる」と診断されたとしても、検査後すぐに装置をつけられることはほとんどないでしょう。矯正装置がつくまでの準備期間があることを理解しておくと、治療のスケジュールを立てやすくなります。

 治療前に確認すべき「装着を遅らせる要因」

矯正治療は歯を動かす長期的な治療であり、その間はブラケットやワイヤー、マウスピースによって治療が難しくなる場合や、歯を動かすことで負担がかかることがあるため、矯正治療が始まる前に口腔内の状態を整えます。

虫歯や歯周病の治療が必要なケース

【むし歯の場合】

虫歯 矯正開始 治療

ワイヤー矯正の場合は、矯正装置をつけた状態では基本的に虫歯治療が困難になります。

むし歯治療で装置を外す必要が出てしまうと、治療計画が大きく遅れるため、虫歯は事前に治しておきます。

また、マウスピース型矯正の場合には、多くのマウスピースを1度のスキャンで製作するため、むし歯治療をすることでマウスピースを作り直さなければいけない可能性があります。

※マウスピースは専用の技工所で製作されるため、通常1ヶ月程度時間がかかることが多いです。

特に非抜歯矯正を希望する場合は、スペースを確保するために歯を少しでも健康な状態で動かす必要があるため、口腔内のコンディションを整えておくことが重要です。

 

【歯周病の場合】

歯周病 矯正開始 治療
歯周病は歯を支える骨や歯ぐきに炎症を起こす病気で、歯がぐらついている状態で矯正力を加えると、さらに骨吸収が進んでしまうリスクがあります。

そのため、歯周病治療が完了し、歯ぐきの状態が安定してから装置を装着することが重要です。

 

 親知らずの抜歯が必要なケース

親知らず 抜歯 矯正
もう一つ、矯正装置の装着を左右する大きな要因が、「親知らず」です。

スペース確保のため

歯並びを整える際にスペースが不足していると、親知らずの抜歯が必要になるケースがあります。特に、奥歯が前方に傾いている場合、親知らずを残したままではきれいに並ばないことがあります。親知らずの抜歯は個人差が大きく、腫れや痛みが出ることもあります。通常は数日〜2週間程度の安静期間を設けてから矯正装置を装着します。

 スムーズに装置をつけるためにできること

 早めの初診予約と検査スケジューリング

矯正歯科は春休み・夏休み・秋の時期に予約が集中する傾向があります。

「矯正装置をつけるまで 時間」を短くしたいなら、早めの受診と精密検査予約が大切です。

 

虫歯や親知らずの処置を先行して済ませる

虫歯や親知らずがあると装置装着が遅れるため、あらかじめ治療を終えておくとスムーズです。

他院で処置しても大丈夫なので、矯正を始めたい時期が決まっているなら逆算して動くとスムーズに矯正治療を行いやすくなります。

 

セファロやCTによる診断で抜歯の必要性を明確に

「抜歯が必要かどうか」を事前に把握することで、装置装着までのスケジュールが立てやすくなります。精密検査によって、非抜歯で進められるか、抜歯を伴うかが明確になり、計画もスムーズに進みやすくなります。

 

まとめ
非抜歯でも装置装着までには準備期間が必要です

矯正相談 カウンセリング 歯列矯正

非抜歯矯正の方が早くスタートできるケースもありますが、必ずしも即日ではないため、スケジュールを把握しておくと良いですね。また、矯正装置はオーダーメイド製作のため、どの症例でも一定の期間(2〜3週間以上)は必要になります。

さらに、虫歯治療・親知らずの抜歯などが必要な場合には、事前の処置の有無で装着時期はさらに変動します。矯正治療をスムーズに始めたい方は、まずは初診相談を受け、虫歯や親知らずのチェックも含めて早めに準備を進めましょう。当院は、表側矯正、裏側矯正(舌側矯正)、マウスピース型矯正を数多く行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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