目次
横顔の美しさの指標Eライン
皆さんは、綺麗な横顔の指標である『Eライン(エステティックライン)』というものをお聞きになったことはありますか?歯科に限らず、美容整形などでも多く使われている言葉です。これは1954年にアメリカの歯科医師が提唱したもので「鼻先から顎先までを結んだ線」のことをいいます。横から見た時に唇がこの線よりも内側に収まる状態が、理想的な横顔であるとしており、次の3つのポイントから構成されます。
①鼻の高さ
綺麗なEラインのための1つ目のポイントは『鼻の高さ』です。なぜなら、鼻が低いとEラインよりも外側に唇が出てしまいがちだからです。ただし、日本人は欧米人と比べて鼻が低い傾向にあるため、Eライン上に唇があったとしても綺麗なEラインであるとされています。
②口元綺麗なEラインを構成する
2つ目のポイントは『口元が出ていない』ことです。口元が前に突出していると、必然的にEラインよりも唇が前に出てしまいます。この状態は「口ゴボ(くちごぼ)」と呼ばれ、出っ歯や受け口などの歯並びや、骨格的な問題が原因で起こります。口元の突出感は、矯正治療を行うことによって改善される可能性があります。
③顎の高さ
3つ目のポイントは『顎の高さ』です。例え鼻が高かったとしても、顎が後ろに下がっていたり前に出ていたりする場合は、唇や顎が外側に出てしまうためEラインは崩れてしまいます。顎の高さも綺麗なEラインにとって重要なポイントになります。上記のバランスが取れている場合は、綺麗な横顔である可能性が高いでしょう。しかし、受け口や出っ歯など歯並びの悪い状態では、Eラインも乱れてしまいます。
受け口とはどのような状態?
受け口は、歯並びや噛み合わせが悪い『不正咬合(ふせいこうごう』の中でも代表的な歯並びです。上下の歯を噛み合わせた時に「下の歯や顎が上の歯や顎よりも前に出ている状態」で、専門的には『反対咬合(はんたいこうごう)』や『下顎前突(かがくぜんとつ)』と呼ばれています。正常な噛み合わせでは、上下の歯を噛み合わせると「上の歯が下の歯を少し覆った状態」になりますが、受け口の場合は反対になります。また、下の顎が前に出て三日月のような特徴的な横顔になるため、見た目にコンプレックスをお持ちの方も多くいらっしゃるでしょう。
受け口になる2つの原因
そもそも、受け口になってしまうのはなぜなのでしょうか。主な原因として、以下のようなものがあげられます。
①先天的な要因によるもの
歯並びや骨格は遺伝する傾向があります。そのため、ご両親のどちらかに受け口が見られる場合、お子様も受け口になる可能性が高いとされています。
②後天的な要因によるもの
日常生活の中で行っている、癖や習慣などが原因となることもあります。例えば「頬杖・口呼吸・指しゃぶり・爪噛み・舌癖」などです。一度や二度行ったくらいで歯が動くことはありませんが、継続して行っていると徐々に影響を及ぼし、歯並びが悪くなる原因になります。このように受け口になる原因は2つありますが、実際には遺伝によるものよりも後天的な癖や習慣によるものの方が多いといわれています。もし心当たりのある癖があるようでしたら、早めに改善を図りましょう。
受け口でも綺麗なEラインは手に入るの?
受け口だからといって「綺麗なEラインに憧れるけれど、私は受け口だから無理だろう」などと諦めてしまっている方はいませんか?結論からお伝えすると、受け口でも綺麗なEラインを手に入れられる可能性はあります。受け口を改善すれば、横顔も大きく変化するからです。次の項では、受け口の治療についてご説明していきます。
受け口を改善して綺麗な歯並びや横顔にする方法
受け口の治療には 『歯列矯正』と『外科矯正』があります。ここでは、それぞれの治療についてご説明していきます。
①歯列矯正
矯正装置を用いて歯を移動させ、歯並びや噛み合わせを整えることで受け口を改善する方法です。用いる装置によって、以下のような種類があります。
・ワイヤー矯正(表側矯正)
歯の表側にブラケットという装置をつけ、そこにワイヤーを通して歯を動かす方法です。表側に装置をつけるため、審美的には劣りますが、様々な歯並びに適応可能です。
・裏側矯正(舌側矯正)
表側矯正と同じような装置を、歯の裏側につけて行う矯正です。装置がほとんど見えないため、矯正中の見た目が気になる方に向いています。
・マウスピース型矯正
取り外し可能な透明のマウスピースを用いる矯正方法です。食事や歯磨きの時を除いて、1日20時間以上自分でつけていただく必要があります。歯科医師の指示通りに装着できないと歯が動かないため、自己管理が非常に重要です。
②外科矯正
外科手術と歯列矯正のどちらも行う方法です。外科手術では、以下のようなことを行います。
・下顎セットバック
重度の中でも、比較的軽度な受け口の場合に行います。下の歯の前から4番目の歯を左右とも抜歯し、その部分の骨を切除して下の顎を後ろに下げて固定します。顎の突出感が残る場合は、顎の骨も切除し綺麗なEラインを目指します。
・下顎枝矢状分割術(SSRO)
受け口の症状が重度の場合に行う治療で、下の顎を分割し後ろに下げて固定する方法です。抜歯する必要がなく、下の顎を動かすことができるため「開咬症」や「顎変形症」などにも対応可能です。
【当法人の外科矯正について(梅田院では不可、詳しくはお問合せ下さい)】
治療方法は受け口の程度により異なる
受け口の原因や程度によって、どのような治療が適しているのかは異なります。一般的な治療方法の目安は、以下の通りです。
・軽度〜中程度の受け口
軽度〜中程度の受け口の場合は、歯並びや歯の生える位置などに問題がある場合が多いです。このような受け口を『歯槽性反対咬合(しそうせいはんたいこうごう)』といいます。顎の骨は正常ですが、遺伝や悪習癖などが原因で下の歯が前に出てしまった状態で、歯列矯正での改善が見込めます。
①軽度の受け口の場合
歯並びの乱れが軽度で抜歯の必要もない場合は、基本的に歯列矯正で改善していきます。歯を大きく移動させる必要がないため、マウスピース型矯正での歯列矯正が可能です。歯を並べるスペースが足りなかったとしても、抜歯するほどではなければ『ストリッピング法』により隙間を作ることで、綺麗な歯並びや横顔に整えることができるからです。
※ストリッピング法とは
歯の側面を僅かに削ることによって、歯を動かすためのスペースを確保する方法です。歯のエナメル質の部分だけを削るため痛みはなく、虫歯や知覚過敏の原因になることもないため心配いりません。
②中程度の受け口の場合
歯並びや噛み合わせに乱れが見られるケースです。中程度の受け口では、顎のスペースが不足していて歯を綺麗に並べることができないため、ほとんどのケースでは抜歯をすることになります。抜歯をする場合は歯を大きく移動させる必要があるので、ワイヤー矯正を行うことが多いでしょう。歯を抜くといわれると「できるだけ歯を抜きたくない」「自分の歯は残したい」と抵抗を感じてしまう方は少なくないと思います。
抜歯をしたくないからといって無理に歯を並べようとすると、口元の突出感が残り綺麗なEラインが作れなかったり、歯並びが元に戻ってしまう『後戻り』が起こる原因となるため注意が必要です。
・重度の受け口
遺伝や顎の骨のバランスなど骨格的な問題が原因で生じる受け口で『骨格性反対咬合(こっかくせいはんたいこうごう)』といいます。上の顎の骨が小さ過ぎる・下の顎が成長し過ぎるなどにより、上下の噛み合わせが反対になった状態です。中には、歯並びは正常だけれども下の顎だけ「しゃくれている」という方もいます。
お子様の受け口は早めの対策が必要!
受け口は放っといても自然に治ることはありません。もしお子様が受け口かもしれないと思ったら、できるだけ早めに歯科医院で相談しましょう。なぜなら、適切な年齢時に治療をすることで、外科手術をしなくて済む可能性があるからです。子供はまだ成長過程にあるため、お口周りや舌の筋肉を鍛えることで望ましい方向に成長を促すことができます。それにより、最小限の負担で歯が並ぶために必要なスペースを確保するのです。顎の成長は5歳までに約50%、10歳で80%、そして20歳までには完了してしまいます。当院では『小児矯正』を行っておりませんが、治療に適した時期を逃さず、お子様の負担を少なくするためにも、ぜひ早いうちにかかりつけの歯科などで診てもらってください。
受け口や横顔にお悩みの方は梅田キュア歯科までご相談ください
今回は、美しい横顔の指標である『Eライン』や受け口の治療などについてご説明しました。歯列矯正は、歯並びを整えるだけではなく「噛み合わせ」などの機能面や「全体のバランス」なども考慮しながら治療を進めていくものです。その過程で、必然的に口元や横顔のバランスも改善されるといえるでしょう。Eラインは美しい横顔の指標の一つですが、元々欧米人を想定しているため、これだけに捉
われる必要はありません。とはいえ、受け口や出っ歯などの不正咬合は、見た目だけではなくお口や全身の健康にも影響します。歯並びなど気になる症状がある方は、ぜひ梅田キュア矯正歯科のカウンセリングへお越し下さい。ご予約は当院のホームページから可能です。どうぞ気軽にご利用ください。