受け口は噛み合わせのバランスが崩れるだけでなく、あごが出ているという見た目の印象もあり治療を希望する方が多い歯並びです。受け口を治すには、何が原因で受け口になっているのか状態の検査をしてから適切な治療方法で治すことが成功のポイントでもあります。今回は、受け口になる原因と治療方法についてご説明していきます。受け口に悩みこれから矯正治療を考えている方にとって参考になるかと思いますので、ぜひ最後までお読みいただきお役立て下さい。
目次
<受け口(反対咬合/はんたいこうごう)って何?>
下の前歯が上の前歯をおおった噛み合わせのことを反対咬合と言います。正常な噛み合わせとは逆の噛み合わせ状態になっています。下あごが前突していることも多く、笑った時のしゃくれた感じや三日月型の横顔など、受け口特有の容姿になりがちなためコンプレックスに感じている方もいます。
<受け口の原因は大きく2つに分けられる>
受け口になる原因の多くは2つに分けることができ、何が原因かを知ることで適切な治療方法が決まってきます。どちらが原因になっているのか、また両方の可能性があるのかはご自身で判断することは難しいでしょう。専門のクリニックで検査をしてもらうことで詳細が分かりますので、自分の状態を知るためにカウンセリングから初めてみるのもいい方法です。
【歯槽性反対咬合】
歯の位置関係が原因で反対咬合が起きているケースです。歯と歯の間がすきっ歯になっていたり、歯並びや歯の傾きが正常とは違うため上の歯を下の歯がおおい噛んでいることがあります。
【骨格性反対咬合】
あごの骨に原因があるケースです。
下あごの骨が上あごよりも大きく、上下のバランスに問題があったり、下あごの骨の位置が前方に位置しているために反対咬合を引き起こしていることもあります。
【その他の原因】
舌を前に突き出すクセがあったり、低舌位といって舌の位置が正しいポジションに位置していないと下の前歯に不適切な力が加わってしまって、歯が唇側にどんどん倒れていき反対咬合の原因を作り出すことがあります。
<反対咬合を引き起こす要因>
反対咬合は一つのことが原因となっている事もあれば、複数の要因が重なっていることもあります。
【遺伝】
遺伝の確率は30%程と言われているので、両親どちらかが受け口の場合でも子供には影響せずに正常なこともあります。そのため、両親が受け口であっても兄弟姉妹全員が受け口となるわけではなく、親から子に100%遺伝するわけではありません。子が受け口だった場合も成長の過程で正しい噛み合わせになることもあります。しかし、両親が受け口、またはどちらかが受け口のケースでは、正常な骨格の両親と比べると子が骨格的な要素を受け継ぐ可能性は高くなります。
【あごの成長のアンバランス】
上あごが先に成長をして追うように下あごも成長していきますが、上あごの成長が不十分だったり、下あごの発達が大きすぎるなど、上下のあごの骨のアンバランスさによって反対咬合になることがあります。このような場合、小学生の頃には容姿に受け口が見られるようになります。
【歯並びの位置関係】
あごが正常な位置にあっても、歯並びが生える位置が正常とは異なってしまうと、反対咬合で下の歯が上の歯をおおうような噛み合わせが出来上がってしまいます。
【よくないクセ】
舌で歯を前に押すクセや下あごを前方に突き出すクセなど、歯並びや噛み方にとってよくないクセを子供の頃から持っていると徐々に歯並びや噛み合わせがズレてきてしまいます。本人にとってはクセになり自覚していないこともあるので、日常に染みついた悪い習慣を改善していく必要があります。
【反対咬合(受け口)についてもっと詳しくはこちらをクリック☆】
<原因別で反対咬合を治療するやり方って何がある?>
他の歯並びにも言えることですが、原因に合わせた対処法をとることが最適な効果を発揮します。反対咬合を治すためにも原因ごとで治療方法が異なります。
【歯並びが原因の反対咬合を治す方法】
歯並びに問題があるケースでは矯正治療は有効な方法になります。矯正治療にも複数の方法があるので、どの方法を選ぶかは治療期間や費用、見た目の問題などを考えて検討するのがいいでしょう。
・マウスピース型矯正
審美性に優れた矯正治療の方法です。透明なマウスピースを1日20時間以上装着して徐々に歯を動かして行く方法で、2週間おきに新しいステップのマウスピースへ交換します。矯正器具のわずらわしさや人目を気にせずに矯正治療をできるメリットがあります。マウスピースの取り外しや洗浄や保管は自分でする必要があるので、紛失のリスクなどズボラな方には向いていません。
・表側ワイヤー矯正
歯の表側にワイヤーと矯正用器具を取り付けて歯の移動を行う治療方法です。マルチに活躍してくれる方法なので反対咬合のケースにも対応可能ですが、矯正器具が人目に付きやすい点ではデメリットでしょう。料金は比較的抑えることができるので、見た目よりも治療費を重視したい方に向いています。
・裏側ワイヤー矯正
マウスピース型矯正と同様に審美性に優れた矯正治療方法で、人目を気にせず治療を進めることができます。装置は固定式で矯正医が調整するので、自分で取り外したりすることはありません。慣れるまでの間、器具が舌に当たるため口内炎や話しにくさといったリスクがあるので、仕事や日常生活に影響を与えないか考える必要があります。
・ハーフリンガル矯正
下の歯並びが原因のケースもありますが、反対咬合を治療するにはトータル的なバランスが必要です。そのため、上の歯並びも改善の余地があれば上下合わせて矯正治療を行います。ワイヤー装置が目立つ上の歯は裏側ワイヤー矯正を行い、装置が目立たない下の歯は表側に矯正器具を付けることで、審美性を保ちながら裏側ワイヤー矯正よりも矯正費用を抑えることができます。上下で矯正治療が必要となったときには検討してみるのもいいでしょう。
・ハイブリッド矯正
ワイヤー矯正とマウスピース型矯正のメリットを合わせた治療方法です。歯並びのデコボコが大きい最初はワイヤー矯正で歯並びを整えます。ある程度歯並びが整ってきたところで、マウスピース型矯正に替えることで審美性を高めることができます。ワイヤー矯正の見た目の気になる期間を減らすことができるメリットがあります。
【あごの骨格が原因の反対咬合を治す方法】
あごの位置関係や顎変形症となった場合には、歯並びを整える矯正治療のみで改善させることは困難になります。このようなケースでは、抜歯やあごの骨を削って正しい位置で噛み合わせるようなオペが必要になります。
・外科的矯正治療
あごの骨をカットして行う外科と歯並びを正しい位置に揃えるための矯正治療を行う方法です。本来、手術の前に行う矯正治療と手術後に行う矯正治療がありますが、当医院ではサージェリーファーストを採用しているため、術前の矯正治療を省くことでトータルの治療期間を短くすることが可能です。あごの骨のオペ後に術後矯正を行い反対咬合を改善させることができます。骨格が原因の反対咬合の治療には、外科的な矯正治療が有効ですが入院期間やオペ後の回復、矯正治療期間も含めると年単位でかかるのが当たり前でした。結果を重視しながら治療期間を短縮することで、理想的な歯並びまでの患者さんの負担を減らすことができます。
<まとめ>
今回は反対咬合(受け口)で悩んでいる方のために、原因や治療方法に種類などについて詳しくご説明しました。どのような方法が自分に合っているのかは、何が反対咬合の原因になっているか検査する必要がありますので、まずカウンセリングから初めてみるのはいかがでしょう。不明な点や悩んでいることは遠慮なく担当のスタッフにご相談下さい。