あなたは自分の歯並びを気にしたことがありますか?日々の生活の中で「もっときれいな歯並びだったら、笑顔に自信が持てるのに」と思うことはないでしょうか。自己評価や自信にも影響を与え、日常生活や対人関係においてストレスの原因になることもあるこの歯並びのお悩みですが、解決するためにはまずその原因を理解し、自分に合った矯正治療を選ぶことが非常に大切です。本記事では歯並びが悪くなる主な原因を詳しく解説し、それぞれの状態に適した矯正治療法をご紹介いたします。
目次
歯並びが悪くなる主な原因
① 遺伝的要因
歯並びは遺伝の影響を大きく受けることをご存じでしょうか。親が出っ歯や受け口、叢生(歯のガタガタ)などの歯並びとなっている、または過去に歯列矯正でこれらの歯列不正を治療した場合、子どもも同じような歯並びになる可能性が高くなります。遺伝では、具体的に次のような特徴が歯並びに影響を与えます。
顎の大きさと歯のサイズのバランス:顎が小さい歯が大きい場合、スペースが足りずに歯が重なるように生え、歯列が凸凹になることがあります。
歯の形状:歯の大きさや形が不揃いだと、歯が並びにくくなり歯列の並びが不均等になることがあります。
骨格の影響:歯列の土台となる顎骨である、上顎や下顎が遺伝によって大きさや形など何らかの影響を受けることで上下の顎のバランスが悪くなり、骨格的な受け口や出っ歯になることもあります。
② 生活習慣や癖
遺伝的に問題がない状態であっても、子どもの頃からの生活習慣や癖が歯並びに大きく影響を与えることがあります。例えば、以下のような癖は特に注意が必要です。
指しゃぶり:3〜4歳を越えてもなお長期間にわたり指しゃぶりが続くと、指を吸引していることで前歯が前方に押し出しされ、開咬(前歯がかみ合わない状態)や出っ歯の原因になります。
舌の癖(低位舌):本来舌の位置は、上顎に吸い付いたような状態が正常となります。しかし、歯列や顎骨の成長期に舌の位置が正しい位置になく、だらんと下に落ちている「低位舌」と呼ばれる状態にあると、上顎の歯列が狭くなることで歯並びが凸凹な叢生となってしまったり、反対に下の歯が前に突出する受け口になってしまったりする可能性があります。
口呼吸:通常歯列は舌や頰、唇からの軟組織からの圧力を受けながらバランスを保っていますが、口で呼吸する口呼吸の習慣があると咀嚼筋や頰筋、舌からの力のバランスが崩れてしまい、開咬や上顎前突(出っ歯)を引き起こすことも少なくありません。
舌を歯に押し付ける:舌を上下前歯に押し付ける「舌突出癖」がある場合、上下の前歯が前方に押し出され、開咬や出っ歯になってしまうケースがあります。
唇を噛む癖:唇を噛む癖は「吸唇癖」ともいい、特に下唇を吸うものが多いとされています。この癖は、出っ歯や開咬、下の歯が後方に倒れてしまうなどの歯列不正を引き起こすことがあり、癖になっている場合には早めに治さなければいけません。
③ 乳歯の早期喪失
乳歯は永久歯が生えるための道しるべとなる重要な役割を持っています。しかし、虫歯や事故で乳歯を早く失い、永久歯が出るまでそのままの状態にしてしまうと、そのスペースに隣り合う歯が移動したり、噛み合う歯が出てきてしまう挺出(ていしゅつ)が起こることで、永久歯が正しく生えなくなる結果、歯並びが乱れることがあるのです。また、乳歯を早くに失うことで咀嚼能力の低下が起こり、顎の発達にも影響を与えることがあります。正しい成長を促すためにも、乳歯の健康を守ること、生えかわりの時期に専門家による検診を受けることはとても重要です。
④ 顎の成長異常
顎の成長に何らかの異常が生じると、歯並びやかみ合わせにも大きな影響を与えます。このような骨格的な問題は、成長期の早い段階で治療を開始することで症状を予防、または改善できる場合があるため、矯正歯科医による早期の介入が有効です。ただし、早期に介入したとしても、骨格的な問題が完全に解決するわけではありません。なお、成人でも外科的矯正手術を併用することで、顎の骨の位置を調整し噛み合わせ、歯並びを改善する治療を受けることが可能です。
骨格性・歯槽性の歯列不正の違い
歯並びの乱れは、大きく分けて下記の通り「骨格性」と「歯槽性」の2つのタイプに分類されます。
① 骨格性の歯列不正
骨格性の歯列不正は、上下の顎の成長バランスに問題がある場合に起こります。遺伝的な要因が大きく関与し、通常の矯正治療だけでは改善が難しいことが多いため、外科的な治療の併用が必要になることも珍しくはありません。程度によっては矯正治療により見た目の症状を緩和できるケースもありますが、この場合あくまでも根本的な改善方法ではなく、治療の効果に限度があることを理解した上で歯列矯正を受けることが重要です。
代表的な症例:
o 上顎前突(出っ歯):上顎の成長が過剰、または下顎の成長が不足
o 下顎前突(受け口):下顎の成長が過剰、または上顎の成長が不足
o 顎変形症:左右の顎の成長に不均衡がある
治療法:
o 矯正治療と外科手術を組み合わせる「外科的矯正治療」が必要になることが多い
o 成長期の早期治療による顎の発育コントロール
② 歯槽性の歯列不正
歯槽性の歯列不正は顎の骨自体に問題はなく、歯の並び方や生え方に異常があるケースです。多くの場合、通常の歯科矯正治療によって改善が可能です。
代表的な症例:
o 叢生(ガタガタの歯並び):顎のスペース不足による歯の乱れ
o 空隙歯列(すきっ歯):歯の間にすき間ができる状態
o 交叉咬合(クロスバイト):歯のかみ合わせが部分的にずれている
治療法:
o マウスピース型矯正やワイヤー矯正で歯並びを整える
o 抜歯や歯と歯の隙間を数ミリ削るディスキング(IPR)によるスペース確保や歯の移動
自分に合った矯正治療法を選ぶために
次はどの矯正治療が適しているのか考えるには、各矯正治療それぞれのメリット・デメリットを理解することが重要です。
① 表側矯正
表側矯正は、歯の表面にワイヤーとブラケットを装着する一般的な矯正方法です。
適応:歯槽性の軽度〜重度歯列不正、軽度~中度の骨格性の歯列不正、外科的矯正治療との併用
メリット:幅広い症例に対応できる、治療の実績が豊富
デメリット:装置が目立ちやすい、口内炎ができやすい
② 裏側矯正(舌側矯正)
治療の仕組みとしては表側矯正と同じですが、裏側矯正(舌側矯正)は歯の裏側にブラケットを装着するため、見た目を気にする方に適しています。
適応:歯槽性の軽度〜重度歯列不正、外科的矯正治療との併用(※自費のみ)
メリット:装置が見えにくく審美性が高い
デメリット:費用が高い、舌に違和感が出やすい
③ マウスピース型矯正
マウスピース型矯正は透明なマウスピースを使用する矯正法で、治療中でも取り外しが可能な治療法です。
適応:歯槽性の軽度〜重度歯列不正(適応範囲はクリニックにより異なる)
メリット:目立ちにくく、食事や歯磨きがしやすい
デメリット:装着時間を守らないと効果が出にくい、適応できる症例が限られる場合がある
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まとめ
矯正治療には複数の選択肢があり、それぞれに異なったメリット・デメリットがあります。歯並びが悪い原因はもちろん、歯列不正の状態やライフスタイルによっても自分に合った治療法は異なるため、専門医と相談しながら最適な方法を検討することが大切です。まずは自分の口の状態を知り、適切な矯正治療を受けるためカウンセリングや精密検査を受けてみましょう!