「受け口だけど放置しても問題はないの?」と気になっていませんか?
結論からお伝えすると、受け口に限らず歯並びや噛み合わせの崩れは放置していいものではありません。場合によっては顎関節症や全身疾患につながる恐れがあり、将来的にみてもデメリットは大きいといえるでしょう。こちらのページでは、受け口を放置するリスクや適切な治療法について分かりやすくまとめました。受け口が気になっている方はぜひご参考ください。
目次
受け口を放置する5つのリスク
歯並びや噛み合わせの崩れの程度は人によって異なりますが、その状態を放置しても基本的にメリットはなく、場合によっては全身の健康に悪影響を及ぼすため注意が必要です。受け口を放置することで引き起こされるトラブルを以下でくわしくみていきましょう。
見た目がコンプレックスになりやすい
受け口はコンプレックスになりやすい歯並びの一つです。原因が歯にある場合は唇を閉じていると分からない場合もありますが、骨格にある場合はいわゆる「しゃくれ」とよばれる状態になり、とくに横顔に自信をもちにくい傾向にあります。見た目のコンプレックスは精神的な問題につながりやすく、対人関係に支障をきたすケースも珍しくありません。外見を気にする年齢になる前に治療をするほうが、前向きに過ごしやすくなるでしょう。
虫歯や歯周病になりやすい
中等度以上の受け口では、唇が自然に閉じられないケースも少なくありません。唇が開いた状態が続くとお口のなかが乾燥して虫歯や歯周病のリスクが上がってしまいます。虫歯や歯周病で歯を失うと歯並びがさらに崩れる可能性があるため、早めの改善を心がけましょう。
滑舌や発音に支障をきたしやすい
上下の前歯のすき間が大きいと内側の空気がもれやすく、籠った声になる傾向にあります。下顎全体が前方にズレているケースだと「舌の位置も通常より前にズレる」「唇が閉じにくい」という理由から滑舌や発音がさらに悪くなりやすいので注意が必要です。
顎関節症になりやすい
受け口に限らず歯並びが崩れていると、一部の歯や顎関節の負担が大きくなります。その結果、歯のヒビや破折、顎関節症につながるケースも珍しくありません。顎関節症は治療が長引きやすく、開口障害があるため食事やお手入れ、歯科治療などが難しくなります。結果的にお口の環境が悪化し、全身の健康にも支障をきたす可能性があるので予防や早期治療が大切です。
胃腸障害をおこしやすい
前歯の機能が発揮できない状態や下顎が前方にズレていてうまく噛めない状態は、咀嚼回数が低下する大きな原因です。食べ物を固形の状態で飲み込むと、消化がしにくいことで胃酸が増えて胃が荒れることがあるので注意しましょう。また、食べ物の栄養がうまく吸収できないことで、体の成長に支障をきたす可能性があります。
受け口を治すにはどうしたらいい?適切な治療法について
受け口は自然に治ることはなく、改善するには矯正治療が必須です。年齢や状態によって適切な治療法が異なるため、気になっている方は一度歯科医院で診てもらうといいでしょう。受け口の主な治療法は以下のとおりです。
小児矯正
受け口は、成人の方だけでなく乳歯列のお子様がなりやすい歯並びの一つでもあります。お子様の受け口は、乳歯列が永久歯列に変わるタイミングで自然に治るケースもゼロではありません。しかし、舌を前に出す癖や上唇を噛む癖などがあったり、骨格に原因があったりする場合は永久歯列になっても受け口が続くことがあるため注意が必要です。顎骨の成長期に行う小児矯正は、今ある歯を並べてこれから生えてくる永久歯が自然ときれいに並ぶよう誘導する効果があります。専用の装置を使って顎骨も広げられる点も小児矯正を行う大きなメリットです。永久歯が並ぶスペースを確保でき、成人矯正での抜歯のリスクを下げられます。
成人矯正
顎骨の成長が止まった12歳以降は、成人矯正の対象です。成人矯正に年齢の上限はありません。今ある歯を並べる目的があり、歯に原因がある場合にのみ対応可能です。骨格に原因がある場合は矯正治療だけで治すのが難しく、外科的治療が必要になることもあるので気になる方は一度歯科医院で調べてもらいましょう。成人矯正で使用する主な装置は以下のとおりです。
ワイヤー矯正
歯の表面にブラケットとよばれる装置を貼り付けて、そこにワイヤーを通して歯を動かす方法です。昔ながらのやり方で微調整がしやすく、治療期間の延長や追加の装置が必要になりにくいのがメリットといえるでしょう。歯の表面に装置がつく表側矯正、裏面につく裏側矯正(舌側矯正)、目立ちやすい上顎を裏側矯正で行い下顎を表側矯正で行うハーフリンガル矯正の3種類に分けられます。
マウスピース型矯正
透明のマウスピース型の装置を使って歯を動かす方法です。治療中でも目立ちにくく、装置の取り外しが可能なためお手入れや食事が今までどおり行えます。
ワイヤー矯正にくらべて微調整が難しく、場合によっては治療の延期や追加の装置が必要です。また、抜歯が必要な症例や難易度の高い症例は対象外になることも少なくありません。歯科医院によってはワイヤー矯正と併用して治療が行われる場合もあります。
外科的治療が必要になった場合の費用や治療期間
矯正治療は、基本的に審美目的と判断されるため保険が適用されません。「先天性の噛み合わせの異常」がみられて「顎変形症」などと診断された場合は、保険が適用されます。外科的治療は入院が必要で、その前後に矯正治療が行われるケースがほとんどです。治療期間は外科的治療を行うための入院期間や前後の矯正治療の進み具合によって差があり、費用も異なります。治療期間やかかる費用、治療の流れなどを明確にしたい方は、現状を正しく把握するための精密検査をお受けください。精密検査を受けたからといって必ず治療にすすむわけではなく、検査結果をもとに立案した治療計画内容をご確認いただき、患者様が同意したら契約にすすみます。
精密検査の内容について
精密検査では、お口のなかやお顔の写真撮影、型取り、レントゲン検査などを行います。型取りは歯科医院や治療法でやり方が異なり、とくにマウスピース型矯正では専用の機械を使ってスキャンする方法をとっているところも少なくありません。一般的な型取りよりも患者様の負担が少なく、材料の硬化を待つ必要もないので治療期間の短縮にも効果的です。痛みを感じる検査はありませんが、じっとしておくことができないお子様は検査ができない可能性があります。小さいお子様がいらっしゃる方で小児矯正をご希望の方は、事前に歯科医院へ確認しておくといいでしょう。
受け口の放置はデメリットが大きい!お悩みの方はぜひ早めの治療を
受け口の放置はデメリットが大きく、お口のなかだけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。前歯の傾斜のみが受け口の原因になっている場合は、部分矯正が可能です。ただし、奥歯や噛み合わせにも問題がみられる場合は全体矯正を選択しなくてはいけません。また、小児矯正と成人矯正では使用する道具や目的が異なります。小児矯正は年齢に制限がありますが成人矯正はなく、虫歯や歯周病といったトラブルがなければ何歳からでも始められるのが大きなメリットです。小児矯正と成人矯正、どちらをご希望であってもできるだけ早めに歯科医院へ相談することをおすすめします。受け口の原因によって適切な治療法や期間、費用は異なるので、気になる方はぜひ精密検査をご検討ください。受け口を治して心身の健康を維持しましょう。