「口内炎ができるほど内頬を噛む」「同じ場所を繰り返し噛んでしまう」このような経験を持つ方は少なくありません。一度噛むと腫れてしまい、さらに噛みやすくなることがあります。この問題の原因として、歯並びが関係している可能性があります。そこで今回は、なぜ歯並びが影響して内頬を噛むのか、その原因を探り、対策を紹介します。内頬をよく噛む方に向けた情報ですので、ぜひ最後までお読みください。
目次
頬を噛む=大きなリスクの可能性
突発的に噛んでしまう内頬。何度も同じ部分を噛み続けた場合、どんなリスクが発生しやすいのでしょうか?幾度となく頬を噛みつづけていると、傷の発生に伴い潰瘍ができやすくなります。
潰瘍ができることで口内炎の発生につながった経験をお持ちの方は多いはずです。しかし、頬を噛み続けるリスクは口内炎だけではありません。頻繁に噛み続けていると、やがて頬の組織が慢性的な刺激を受けることで、口腔がんを発症させる可能性まであるのです。口内炎だけではなく、口腔がん予防のためにも原因を突き止めて早めに対策を打つ必要があります。
頬噛みは歯並びが原因?考えられる原因と対策
さて、ここからは頬噛みの原因について探っていきます。考えられる原因の1つに歯並びの問題がありますが、実はそれだけではありません。どんな原因があるのか詳しくみていくとともに、対策についてもお伝えしていきます。
①「ストレス」
意外に思われるかもしれませんが、ストレスや日常生活の疲れが原因で内頬を噛んでしまうことがあります。これらが原因となることで、無意識に頬を噛む癖がついてしまうのです。
ストレスや疲れが原因で内頬を噛む理由として、脳と体の連携がうまくいかなくなることが挙げられます。また、噛むことで一時的にストレスを紛らわせている場合もありますが、この癖を放置する行為は大変危険です。
〈対策〉
ストレスや疲れによって無意識に内頬を噛んでしまう場合は、まずリラクゼーションを取り入れることをおすすめします。十分な睡眠や休養をとったり、軽く運動をしたりすることでストレスを軽減することが可能です。そして、入浴して血行を良くすることもストレス緩和に有効です。生活の見直しをすることで、頬を噛む癖が少しずつ改善されていくでしょう。
②「加齢」
加齢も内頬を噛みやすくなる原因の1つです。「以前は内頬を噛むことがなかったのに、最近よく噛むかも…」という方は加齢が原因の可能性があるでしょう。加齢が原因の理由は、筋力の低下が挙げられます。年々、口を動かす回数が減ってしまうと筋力が減少し、顔のたるみを誘発させます。こうした皮膚のたるみによって口のなかもたるむようになり、内頬を噛みやすくなってしまうのです。
〈対策〉
「加齢が原因ならどうすることもできないのでは?」と思われるかもしれませんが、対策はあります。それが表情筋トレーニングです。筋力低下が原因ですので、日頃から表情筋を鍛えるトレーニングを取り入れて筋力アップを促してみましょう。おすすめは「あいうべ体操」です。あいうべ体操は主に口元の筋力を鍛える体操として有名で、顔のたるみやシワ、口呼吸の改善など、さまざまな効果をもたらせてくれます。やりかたは、とても簡単!「あー」「いー」「うー」「べー」とそれぞれ大きく口を開いて1秒キープするだけです。最後の「べー」では、舌を前に伸ばしましょう。あいうべ体操を1日10回以上繰り返すことで、顔や口の筋肉が鍛えられて筋力アップに効果的です。
③「新しい被せものや入れ歯が慣れない」
「最近、歯科医院で新しい被せものや入れ歯を入れてから内頬をよく噛むようになった…」という方はいませんか?もし、治療したばかりなのに頬を噛むようになったのであれば、こうした原因が考えられるでしょう。新しい被せものや入れ歯は、まだ口のなかで馴染んでいないため、思わず内頬を噛んでしまうことがあります。一時的なものですので気づいたら噛まなくなっている場合がほとんどですが、それでも噛み続けているならば噛み合わせがあっていない可能性があります。
〈対策〉
数か月も内頬を噛む癖が治らない場合は、歯科医院で相談してみることをおすすめします。噛み合わせバランスが悪いことが可能性として考えられることから、早めに治療してもらうと安心です。
④「顎関節症」
顎関節症になってしまうと、顎のズレが引き金となって内頬を噛んでしまいやすくなります。顎関節症とは、関節がズレることで口が開かなくなったり痛みが出たりする症状のことです。放置することで、痛みが増すばかりか噛み合わせバランスの悪化や顔の歪みまで引き起こす可能性があります。
〈対策〉
顎がカクカク鳴ったり、食事中に痛みが走ったりする場合は顎関節症が疑われます。まずは自己判断ではなく、一度歯科医院を受診し歯科医師に相談してみましょう。治療としては、症状緩和のためにマウスピースを装着して顎の保護をしていきます。そうすることで、少しずつ内頬を噛まなくなっていく可能性が高いです。
⑤「歯並びの悪さ」
顎関節症ではないけど、以前からよく噛んでしまう方は歯並びの状態があまり良くないかもしれません。なぜ、歯並びが悪いことで内頬を噛んでしまうかというと、ガチャガチャしている歯並びでは上下を噛み合わせたときに位置がずれ込んでしまうからです。位置がずれた状態で噛むと、内側の頬肉を巻き込んでしまいます。
〈対策〉
いまのまま放置していても歯並びを治すことは不可能です。しっかり治すためには矯正治療をおこない、根気よく治療する必要があります。矯正治療については、次の章で詳しく説明したいと思います。
矯正治療で頬噛みが改善する
これまで内頬を噛む原因について触れてきましたが、さまざまな原因があるなかで最も多い悩みが歯並びの悪さだと思います。歯並びや顎関節症という症状は、自力で治すことは不可能です。むしろ顎関節症の症状は歯並びの悪さからきている場合もあることから、根本的な治療をする必要があります。ここでは矯正治療法をいくつかご紹介しましょう。
マウスピース型矯正
透明なマウスピースを作製し、毎日20時間以上の装着によって歯を動かしていく治療が、マウスピース型矯正です。昨今ではマウスピース型矯正の主流によって矯正治療がしやすくなり、治療に前向きな方が増えてきました。周囲に矯正していることがわからないことや取り外しができることが手軽に始められるメリットだといえます。しかし、マウスピース型矯正が適しているのは比較的軽度の症状に当てはまることから、症例を選んでしまう側面もあるので注意が必要です。
ワイヤー矯正
矯正治療の代名詞としても知られているのがワイヤー矯正でしょう。ブラケットやワイヤーという固定器具を歯に装着して、ワイヤーの力によって歯を動かしていく治療法です。ニッと笑うと矯正器具が見えるタイプの〈表側矯正〉や歯の裏側に装着する〈裏側矯正(舌側矯正)〉など、昨今ではワイヤー矯正の種類も豊富にあります。「周囲に矯正していることがバレたくないから嫌」という方でも裏側矯正(舌側矯正)であれば周りにバレずに矯正することが可能です。ワイヤー矯正は重度の症例でも対応できる治療法のため、柔軟に治療できる点がメリットでしょう。しかし、取り外しができないため食事や発音に支障が出る場合も想定されます。
何度も頬を噛む場合は一度当院までご相談ください
いつも何気なく内頬を噛んでしまう方は原因を探るためにも、一度当院で原因を調べてみませんか?当院では、こうしたお悩みに対しても原因を模索し、患者さまに最適な治療プランをご提案しています。「内頬を噛むくらいで歯科医院に行くのは大げさ」「噛んで傷になっても数日で治るし、そんなに問題ないだろう」と思っていてもやはり放置することでリスクを伴うことは避けられません。いまはそれほど大きな悩みではなくても、将来的なリスクを背負う確率は高くなります。早いうちに原因を特定して、改善策を模索しておくことが大切です。当院では、まず患者さまが気軽に来院できるようにカウンセリングを設定しております。患者さまのどんな些細な悩みや疑問などにも丁寧な対応を心掛けていますので、歯科医院が苦手な方でも安心して来院できる環境を整えております。少しでも当院が気になった方は、ぜひお気軽にご相談くださいね。