「矯正治療で抜歯をすることになったけど、食事はどうしたらいいの?」と気になっていませんか?
抜歯後は歯ぐきに大きな傷がついた状態になります。食事の内容によっては痛みや腫れが強くなる恐れがあるため注意しなくてはいけません。
こちらのページでは、矯正治療で抜歯が必要になった場合の正しい過ごし方を、注意点も含めて分かりやすくまとめました。抜歯を終えて食事にお困りの方はもちろん、矯正治療をご検討中の方にとっても役立つ情報ですのでぜひご参考ください。
目次
矯正治療で抜歯をしたあとの正しい過ごし方
抜歯後の過ごし方は「直後」「当日」「当日~1週間」でそれぞれ気をつけるべき点が異なります。矯正治療をスムーズに始めるためにも、事前に正しい過ごし方をチェックしておきましょう。
抜歯直後
抜歯直後は、止血用のガーゼを10分程度噛んでいただきます。時間が経っても血が滲んでくるようであれば清潔なガーゼと取り替えて追加で10分噛むようにしてください。替えのガーゼは歯科医院から貰うケースと、患者様自身でご用意いただくケースがあります。気になる方は事前に確認しておくといいでしょう。
食事に関する注意事項
麻酔が効いている間は唇の感覚がないため噛んで傷つける恐れがあります。粘膜の傷はお手入れがしにくくなる原因であり、お口のなかが不衛生になると歯ぐきの治りが悪くなるので注意しなくてはいけません。麻酔がしっかり切れるまでは食事を控えるようにしましょう。水分は摂っても問題ありませんが、唇が麻痺していることでこぼれやすい傾向にあります。また、ストローは口のなかに強い圧がかかり出血しやすくなるので使用は控えましょう。
抜歯をした当日
しっかり止血をするために、激しい運動や飲酒、長時間のお風呂など血行が良くなることは控えてください。血餅(血の塊)が抜歯窩(抜歯をしてできた穴)にできない状況が続くと、顎骨が外気に触れて炎症を起こす「ドライソケット」につながるため注意しましょう。歯ぐきの形が悪くなる原因でもあります。
食事に関する注意事項
抜歯窩を刺激しないために「辛いもの」や「熱いもの」は控えてください。熱すぎない「おかゆ」「うどん」などがおすすめです。お酢や醤油なども傷口にしみる可能性があるので注意しましょう。
抜歯をした当日~1週間
抜歯をした日は化膿止めと痛み止めが処方されます。化膿止めはをしっかり飲み切る必要があり、飲み忘れると腫れや痛みが強まる可能性があるため気をつけなくてはいけません。痛み止めは痛みがあるときだけ飲むようにしましょう。歯ぐきをきれいに治すには、抜歯窩に血餅がある状態を維持する必要があります。抜歯当日から3日間は強いうがいを控えてください。血が滲んできてうがいをしたくなったら、優しくゆすぐようにしましょう。血餅が取れる恐れがあるので、1週間は抜歯窩の周囲に歯ブラシの毛先をあてないでください。抜歯窩を舌で触るのも血餅が取れたり腫れがおこる原因ですので、気になっても触らないようにしましょう。
食事に関する注意事項
食事は歯ぐきの治りをみながら少しずつ通常のものに戻していきますが、3日間は刺激の強いものは口にしないほうが治りは良くなります。硬いものは反対の部分で噛むようにしてください。
傷の治りを良くするために積極的に摂取するといいもの
歯ぐきの傷を早く治したい方におすすめの栄養素をご紹介します。積極的に摂取してスムーズな治療につなげましょう。
亜鉛
代謝や免疫力アップに効果的な栄養素が亜鉛です。大豆製品、ナッツ、牛肉などに多く含まれています。
ビタミンB
エネルギーの代謝を促すのがビタミンBです。豚肉、納豆、レバーに多く含まれています。
ビタミンC
体の調子を整えるのに最適なのがビタミンCです。いちごやキウイ、パプリカ、パセリに多く含まれています。
ビタミンA
粘膜の成長を促すのがビタミンAです。
うなぎやバター、卵などの動物性の食材に多く含まれています。
抜歯をして矯正治療にすすんだ後の食事の注意点
食事の注意点は治療法によっても異なります。トラブルにつながらないよう以下の点に注意して過ごしましょう。
ワイヤー矯正の場合
装置のすき間に食べ物が詰まりやすい
固定式のワイヤー矯正は、ブラケットやワイヤーのすき間に食べ物が詰まりやすい傾向にあります。表側矯正の場合、食べ物がすき間に詰まっていることで笑ったときの印象が悪くなる可能性があるため注意しましょう。外食をするときはできるだけ大きく笑うのは控えるか、食べ物が前歯に詰まらないよう奥歯で噛むように意識するのがおすすめです。食べ物が詰まった状態を放置すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。食事をしたあとはできるだけ早めにうがいや歯磨きをしてお口のなかをリセットするようにしてください。
「噛みちぎる」「勢いよく噛む」は装置が取れる原因
硬いお肉などを噛みちぎったり、勢いよく噛んだりするとブラケットの脱離やワイヤーの変形を引き起こす可能性があります。ワイヤー矯正に食事制限があるのはそれが理由です。事前に一口サイズに切る、奥歯を使ってゆっくり噛むなど工夫をして食事を楽しみましょう。装置が一箇所でも取れたら歯が計画どおりに動きませんので、トラブルがおこったら早めに歯科医院へご連絡ください。
色の濃い飲食物でゴムが変色することがある
ワイヤー矯正では、ワイヤーと装置を固定するときに細いワイヤーを使用しますが、それが取れたり粘膜に刺さったりしないよう透明なゴムで覆います。また、前歯を後ろに下げたり噛み合わせを調節したりするときに顎間ゴムを使用することも珍しくありません。ゴムは透明なものが一般的ですが、色の濃い飲食物で黄色く変色しやすいので注意が必要です。ゴムの変色を避けたい方は、白やクリーム色などの食材を選ぶようにしましょう。
マウスピース型矯正の場合
食事のときはかならず装置を外す
装置をはめたまま食事をすると、穴が開いたり変形したりする恐れがあります。少しでも形が変わるとうまくはまらなくなり、場合によっては作り直しが必要です。作り直しには別途料金が発生するだけでなく、受け取りまでに1か月ほどかかるためその分治療期間が延びてしまう傾向にあります。スムーズな治療のために装置は正しく使いましょう。
食べかすがついた状態で装置をはめない
食べかすや糖がお口のなかに残っている状態で装置をはめると、虫歯や歯周病につながります。マウスピース型矯正はワイヤー矯正よりもリスクは低いといわれていますが、それはしっかりお手入れができている場合のことであり、汚れが残っている状態で装置をはめるとワイヤー矯正よりもリスクが高くなるため注意が必要です。虫歯や歯周病になると、矯正治療の中断や詰め物や被せ物などをすることで使用している装置がはまらなくなり、作り直しが必要になる可能性もあります。食事をしたあとはうがいや歯磨きなどでお口のなかをリセットしましょう。
抜歯後は注意点を守りスムーズな治療につなげよう
抜歯後は食事やうがいの強さ、お手入れのやり方など注意するべき点が複数存在します。トラブルにつながると矯正治療を始めるまでの期間が延びてしまうだけでなく、モチベーションが低下する恐れもあるため正しく管理しましょう。今回ご紹介した歯ぐきの治りをよくする栄養素をぜひ積極的に摂取し、スムーズな治療につなげてください。当院では、抜歯が必要な患者様に対して事前に注意事項や食事・お手入れなどのアドバイスを分かりやすくお伝えしております。トラブルがあったときの対処法についてもくわしく説明しますので、心配な方はお気軽にご相談ください。