噛み合わせのバランスが崩れると、様々な部分の不調が出ることがあります。歯列矯正をすると、噛み合わせのバランスを整えることができますが、一時的に噛み合わせが変わる時期がある場合もあります。そこで今回は、歯列矯正中の体調不良の原因や対処法について詳しくご紹介します。
噛み合わせと体調不良の関係
噛み合わせは、体のバランスを保つ上でも大切役割をしています。オリンピックの選手など一流のアスリートはきちんとバランスよく噛めていると、パフォーマンスが向上することも分かっています。噛み合わせが悪いと、口周りに筋肉バランスが緊張することで周囲の首や肩に悪影響を及ぼして頭痛などを引き起こすこともあります。そのため、噛み合わせのバランス悪いと全身のバランスまで影響を及ぼして倦怠感などにつながり場合もあります。
噛み合わせが悪くなると起きる5つのこと
1 顎関節症の可能性が高くなる
噛み合わせが悪いと、顎にも負担がかかりやすくなります。そうすると、顎を支えている顎関節の不具合が起きる可能性が高くなり、顎関節症のリスクが高くなります。
2 首こり・肩こり・頭痛などの咬合関連痛のリスクが高くなる
全身の筋肉はつながっているため、噛み合わせのバランスが悪いと口周りの筋肉バランスが崩れてきます。そうすると、口の周りの首や肩で筋肉の張りなどを生じることがあります。その結果、頭痛などを引き起こすこともあり、噛み合わせのバランスの悪さから不具合が起きることを咬合関連痛といいます。咬合関連痛は他の原因でも起きることがあるため、発見されにくい特徴があります。
3 顔のバランスが変わる・ゆがみを生じる
噛み合わせが悪い状態が続くと、顔のバランスにまで影響が出る場合はあります。顔のゆがみにも関係してくることもありますので、早めに改善が必要です。
4 歯周病が悪化する
歯周病は、汚れの中にひそんでいる歯周病菌が歯ぐきや歯周組織に炎症を引き起こす疾患ですが、悪化すると顎の骨を溶かしてしまいます。そうすると、歯を支える部分が少なくなるため、歯がグラグラしてしまいます。さらに、噛み合わせのバランスが悪いと歯周病の部分に強く当たってしまうことがあり、炎症が起きている所に負担がかかります。そうすると、噛み合わせの悪さが歯周病の悪化を招いてしまうことがあります。
5 消化器官に負担がかかりやすい
長期間噛み合わせの悪い状態が続くと、噛みにくさから噛む回数が減る傾向になります。しっかり噛まずに食事を続けていると、消化器官に負担がかかってしまう場合があります。
噛み合わせが悪くなる原因とは
・歯ぎしりが習慣化している
歯ぎしりは寝ている時に無意識に行っていることが多く、非常に強い力がかかっていることが多いでしょう。また、意識的に改善することが難しいため、少しずつ歯がすり減って、噛み合わせのバランスが変わってしまうことがあります。歯ぎしりを防止するためには、お口に合ったマウスピースを作製して歯や顎を保護することが大切です。
・頬杖をつく習慣がある
頬杖は何気ないくせですが、片方に力がかかり続けてしまうため、噛み合わせのバランスが悪くなってしまうことがあります。頬杖は意識して改善しやすいくせのため、すぐに止めるようにしましょう。
・片方ばかりで噛む
左右バランスよく噛めていることが理想的ですが、噛みにくさから片方ばかりで噛んでいる場合があります。また、あまり意識せずに片方だけに噛み癖がついていることもあります。噛み合わせの悪さにつながってしまうため、左右バランス良く噛むよう意識しましょう。
歯科矯正中に体調不良になる可能性はある?
・噛み合わせのバランスが一時的に変わった
矯正治療中は少しずつ歯並びが変わるため、一時的に噛み合わせのバランスが変わるタイミングがあります。徐々に整った歯並びに改善していくため、矯正治療が進んでいくと噛み合わせのバランスは整っていきます。いつもと違う場所で噛むようになる場合もあり、使っていなかった筋力を使うことも1つの影響と考えられています。
【対策】
片方ばかりで噛むくせは噛んでいる方ばかりに負担がかかるため、噛みくせがついてしまいます。そうすると、偏って筋肉バランスになってしまい、顔のゆがみなどにもつながります。矯正治療中は一時的に噛みにくい時期がある場合もありますが、左右バランスよく噛むように心がけましょう。矯正治療が進むと左右バランスよく噛むことができるようになります。
・矯正中の痛みや違和感
痛みや違和感は個人差がありますが、矯正装置をつけたばかりの時期や調整をしたばかりのタイミングは新しい力が歯を支えている組織にかかっているため、歯周組織が敏感になっています。
そのタイミングで噛む力が加わると、違和感や痛みにつながる場合があります。通常は、2~3日をピークに徐々に落ち着いてくることが多いでしょう。
【対策】
矯正で新しい力が加わった時は、敏感になっているため、負担になりにくいやわらかい物を食べるようにしましょう。うどんやパスタ、ポタージュスープなどあまり負担のかからない物がおすすめです。歯並びの状態によっても違和感の症状は異なりますので、状態をみながら調整してくださいね。また、歯並びの不正が強い時期は違和感や痛みが出やすいですが、歯並びが整ってくると違和感も少なくなってきます。痛みや違和感が強い時は痛み止めを服用するのも1つの方法です。徐々に落ち着いてきますので、ピークの時期につらい場合には痛み止めを使いましょう。
・矯正中の食生活の変化
矯正装置がついたばかりの時期など、慣れるまで食事がしにくい場合があります。食べやすい物ばかり食べていると、栄養バランスが崩れてしまうこともあります。そうならないように、硬い物は負担がかかりやすいですが、バランスよく食べるようにしましょう。
【対策】
小さく切る、柔らかく煮るなど同じ食材でも食べやすくする工夫をすると、矯正中でも無理なく食べることができます。
・矯正とは関連がない可能性も
矯正期間中に起きる不調は、矯正治療と関係がない可能性もあります。肩こり・首こり・頭痛などは様々な要因が考えられるため、矯正治療が影響していない場合もあります。噛み合わせのバランスは一時的に変わりますが、猫背でパソコンを長時間している、姿勢の悪い体制が続いていると、これらの症状が出る場合があります。
【対策】
これらの咬合関連痛に関係している不調は、適度な運動と十分な睡眠、正しい姿勢で過ごすなど基本的な習慣を継続することで改善する場合があります。また、湯船にゆっくり使って血流を良くするなど、当たり前のことのようで以外とできていないことも少なくありません。意識して改善するようにすると、咬合関連痛は落ち着くことがあります。
【まとめ】
噛み合わせのバランスの悪さは様々な悪影響が起きる可能性があります。矯正中も一時的に噛み合わせのバランスが変わる場合がありますが、徐々に整っていくため、一般的な噛み合わせの悪さが原因の悪影響は少ないと考えられています。治療のステップごとに気になることや困ったことがあった場合には、対処法もお話することができますので、矯正治療に関するお悩みはお気軽にご相談ください。当院は、表側矯正・裏側矯正(舌側矯正)・ハーフリンガル矯正・マウスピース型矯正に対応していますので、患者様のお口の状況とご希望に合わせてより良い矯正方法をご提案します。