歯列矯正を検討中で、タバコを吸っているという方もいらっしゃると思います。「喫煙者でも矯正はできるのか?」「禁煙しないといけない?」など、治療を考えるにあたって疑問なことはたくさんあるでしょう。結論から申し上げると、タバコを吸っている方でも歯列矯正することはできます。しかし、今までと全く同じ通りにというわけにはいきません。きれいな歯並びを手に入れるために気をつけていただきたい点や、デメリットもあるからです。今回はマウスピース型矯正において、喫煙がどう影響するのかお話していきます。タバコを吸われていて矯正治療をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
目次
矯正治療中にタバコを吸えないことはあるの?
タバコを吸っていても矯正治療は可能だと知って、ホッとした方もいるのではないでしょうか。禁煙しなくても治療はできますが、今まで通りというわけにはいきません。ここではマウスピース型矯正時にタバコを吸えないのはどのような時なのかや、注意点についてご説明いたします。ぜひご覧ください。
マウスピース型装置をつけている時にはタバコを吸わない
マウスピース型装置をつけたままタバコを吸うことは避けてください。喫煙する際には、必ず装置を外すことが大切です。一般的にこの装置は「食事と歯磨き時以外の22時間以上装着する」必要があります。装着時間が短くなると、計画通りに歯が動かないなどの問題に繋がりますので注意してください。
喫煙後はお口を清潔にする
喫煙後はタバコの成分がお口の中に残った状態です。そのまま装置をつけてしまうと、歯や装置が着色してしまう原因となります。喫煙後は、歯磨きをしたり口をゆすぐなどしてお口
を清潔に保ちましょう。このように、喫煙する際には気をつけていただかなければならないことがあります。もし守れない場合には、トラブルに繋がることも珍しくありません。歯列矯正をお考えの方は、上記を守れるかどうかも含めて良く検討してみてくださいね。
なぜマウスピース型装置をつけたまま喫煙してはいけないの?
マウスピース型装置をつけたまま喫煙すると、タバコに含まれるタールによって装置が少しずつ黄ばんできます。通常は装置が透明なため目立ちませんが、黄ばんでいるとなると話は別です。意外と口元は見られているもの。日中のほとんどの時間は装置を着けるため、周りの人の目にもつきやすくなるかもしれません。
またどのくらい吸うのかにもよりますが、着けたままでいると装置が劣化してしまう可能性もあります。劣化や変形は治療の妨げにもなりかねないため、注意が必要です。どうしても吸いたい時には、装置を外し忘れないようにしてください。
タバコの種類を変えれば問題ない?
現在は紙巻きタバコに変わり『電子タバコ』や『加熱式タバコ』がかなり普及してきています。これらに変えれば、矯正中に喫煙しても問題はないのでしょうか。電子タバコは煙が生じず、日本で許可されているものはニコチンを含まないリキッドのみです。そのため、血流への影響は少ないと考えられます。ただし海外のリキッドなどにはニコチンが含まれているものもあるため、使用する際には良く確認してください。対して加熱式タバコは、タバコの葉を使用しているため蒸気にニコチンやタールが含まれています。煙は出ませんが、矯正治療を行うに当たっての影響は紙巻きタバコと同様だと考えてください。できれば控えていただいた方が良いと思います。
矯正中にタバコを吸うことで生じるデメリット
矯正治療中の喫煙は可能ですが、控えられるのであれば吸わないに越したことはありません。なぜならデメリットは意外と多くあるからです。具体的には、次のようなものがあげられ
ます。
歯の動きが悪くなる
恐らく多くの方がご存知だと思いますが、タバコを吸うと血管が収縮し血行を妨げてしまいます。これは顎骨の働きにも悪影響を与え、吸っていない場合と比べると歯の動きが悪くな
ってしまうのです。そのため、喫煙者の方は予定よりも治療期間が長くなりやすい傾向があります。スムーズに矯正治療を進めたい場合には、禁煙も視野に入れた方が良いでしょう。
歯周病のリスクが上がる
歯ぐきにはたくさんの毛細血管があり、それによって酸素や栄養が運ばれる仕組みです。しかし顎の骨と同様に、喫煙は歯ぐきの血行も悪くしてしまいます。結果として、歯周病菌に対する抵抗力が落ち歯周病のリスクが高くなります。歯周病は歯ぐきの炎症だけではなく、歯を支えている顎の骨を溶かしてしまう病気です。歯周病が進行すると歯が動きやすくなり、せっかく整った歯並びも崩れてしまう恐れがあります。普段よりもしっかりお口のケアをするように心がけ、歯周病にならないように十分気をつけましょう。
口臭や着色の原因になる
喫煙していると口臭が強くなりますが、本人は自覚していないケースも少なくありません。さらにヤニが歯の表面に沈着し、不衛生にみえるなどの問題もあるため、非喫煙者よりも念入りなお手入れが必要です。日頃のケアに加えて定期的に歯科医院でのクリーニングを受け、お口をきれいに保つように意識しましょう。
自己管理が難しくなる
マウスピース型装置は取り外しが可能なため、ご自分で着脱しなければなりません。食事や歯磨きの時は必ず外し、終わった後に着ける必要があるため、煩わしく感じてしまう方も珍しくないでしょう。そのため自己管理できるかどうかが治療結果を大きく左右するともいわれています。タバコを吸う方は、その度に装置を着脱することになるため、さらに手間が増えてしまいます。より一層患者様の協力が求められるといえるでしょう。
ワイヤー矯正ならタバコを吸っても支障ない?
ワイヤー矯正では、マウスピース型装置を用いないため「喫煙したいならワイヤー矯正を選択すれば良いのだろうか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。結論としては、装置が黄ばむという心配はありませんが、その他のデメリットに関してはワイヤー矯正も同様です。
どの治療方法を選択するにしても、デメリットを考えると「禁煙した方が満足できる結果に繋がりやすい」といえるでしょう。さらに矯正治療後は、よりきれいな歯にしたいという意識が高まり「歯を白くしたい」とご希望される方も多くいます。歯のホワイトニングを行う際には、少なくとも治療期間中の喫煙は控えていただくようお伝えすることが一般的です。ホワイトニング中は歯が着色の原因となる成分を吸収しやすくなっているため、喫煙をしているとホワイトニングの結果に影響を及ぼしてしまうからです。もしホワイトニングもご検討されている場合には、早い段階で禁煙しておくと身体への影響を含めて様々なメリットを得られると思います。
きれいな歯並びを手に入れたいなら喫煙は控えた方が良い
今回は、マウスピース型矯正を行う際に喫煙がどう影響するのかについてお話しました。矯正中は絶対に禁煙しなければいけないというわけではありませんが、喫煙することによっ
て生じるデメリットは意外とたくさんあることがお分かりいただけたと思います。「トラブルを避けてスムーズに治療を進めたい」「仕上がりを重視したい」「せっかく治療するのだから、できるだけ満足のいく歯並びに近づけたい」という方は、少なくとも矯正中の喫煙は控えたほうが賢明です。もし歯列矯正を考えていて「できれば禁煙したいけど色々不安」「喫煙はやめられそうもないけど歯並びはきれいにしたい…」などのお悩みがありましたら、ぜひ一度ご相談にいらしてください。
当院では、矯正治療を検討中の方やご興味のある方を対象にカウンセリングを実施しております。ご不安なことがありましたら何でもお話いただけたらと思います。ご希望がございましたら、どうぞ気軽にお問い合わせください。