矯正をしている方の中で小さなゴムをもらって、ゴムをかけていた経験がある方もいるのではないでしょうか。この小さなゴムは、矯正をサポートする役割があり、歯を動かしたり、かみ合わせのバランスを整えたりするために大切な働きをします。このゴムかけは、患者さま自身で行ってもらうものなので、コツをつかんで矯正期間を過ごしましょう。そこで今回は、矯正中のゴムかけについて詳しくご紹介します。
目次
ゴムかけで得られる効果とは
ワイヤー矯正でもマウスピース矯正でも、歯並びによっては「ゴムかけ」が必要になる場合があります。矯正装置にかけて使用するゴムで、お口の開閉の時の力を利用して矯正力をかけるものです。特に「かみ合わせのバランスを整える」時に使用することが多く、ゴムかけで細かいかみ合わせを調整していきます。矯正では、歯並びを整えることだけでなく、機能的にしっかり噛めるようにかみ合わせのバランスも整えていきます。また、ブラケットやマウスピース矯正でも矯正力をかけますが、細かい動きを加える時に
は、ゴムの力が大切になります。そのため、歯科医師の指示の通りゴムかけをしないと、治療計画通りに歯が動かないことがあるため、必ずゴムかけをしましょう。
ゴムかけをしないとどうなる?
ゴムかけは自己管理が必要なので、「ちょっとくらい……。」「矯正装置がついているから……。」とゴムを外した時間が長くなると、治療計画通りに歯が動かないケースも出てきます。そうすると、予想していた治療期間より長引いてしまう場合や矯正の仕上がりに差が出ることがあります。特に、かみ合わせのバランスを整えるためにゴムかけは大切な役割をしています。
ゴムかけで苦労するポイント
1 違和感がある
矯正装置をつけた時や調整した時にも違和感や痛みがある場合がありますが、ゴムかけでも歯を動かす力が働いているので、違和感を覚えることがあります。むし歯などの強い痛みではなく、少し引っ張られているような違和感があることが多いようです。
ゴムかけが慣れてくると、徐々に落ち着いてきますが、調整をした直後は歯に新しい矯正力が加わっているため、歯の周りの組織も敏感になっており、違和感を覚えやすくなっています。装置と同様に徐々に落ち着いてくることがほとんどですが、強い力がかかると違和感を覚えやすいので、固い物を噛むことは控えた方がよいでしょう。調整した直後やゴムかけを開始したばかりの時は、やわらかいうどんなどを食べて、負担がかからないようにしましょう。
2 口が開きにくい
ゴムが引っ張り合う力を矯正力として利用しているため、口が開きにくく、そのことがストレスになる場合もあるようです。ゴムをかけていても、今まで通り話すことができますし、食事の際には取り外しすることもできます。また、歯磨きの際にも磨きにくいので、取り外します。ただし、食事や歯磨きが終わった後はすぐにつけないと、ゴムの時間が短くなってしまいますので、必ずつける習慣をつけましょう。
3 付け忘れ
ゴムかけで付け忘れが多くなってくると、ゴムかけの時間が短くなってしまいます。特に食後のんびりしてから……。とゴムかけを後回しにしていると、時間が過ぎてしまう
ようです。食後は必ずゴムかけをしてそれからのんびりするようにしましょう。また、外出先にも必ず予備のゴムを持っていくようにしましょう。不意に外れて落ちてしまったり、切れてしまったりする場合もあります。その場合、対処ができるように予備のゴムは準備しましょう。また、旅行や出張の際にも忘れないように持ち物リストに入れてくださいね。
装着時間は?
基本的にはずっとつけていることが望ましいですが、食事や歯磨きの時などに外すことも考慮して、少なくとも20時間以上のゴムかけをすることが大切です。付け忘れてしまうと、この時間を確保できずに、治療計画通りに歯が動かない可能性も出てきます。食事や歯磨き以外の時間は装着して、矯正で整った歯並びとかみ合わせを手に入れましょう。
ゴムかけの種類
・上の前歯を下げたい時(出っ歯)
上の前歯が出ている方にかけることが多く、上顎の前歯の近い位置から下顎の奥歯にかける方法です。この力をかけることで、上顎が後方に下がるように矯正力をかけていきます。ゴムかけのコツですが、上側からかけて下側にかけるので、下の奥歯がかかりやすいように少し下顎を前に出すようにすると、かけやすくなります。
・下顎を下げたい時(受け口)
下の顎が出ている受け口の方にかけることが多く、上記の場合とは反対で、下顎の前歯に近い位置から上顎の奥歯にかける方法です。子の力をかけることで、下顎が奥に下がる力をかけるものです。ゴムかけのコツは、下顎を少し後ろに下げるようにしてゴムかけをします。
・かみ合わせが逆になっている時(交叉咬合)
通常は、上顎のかみ合わせが被さっている状態が正しいのですが、反対に下顎が被っている状態が交叉咬合です。一部分だけ逆になっている場合もあり、歯が傾いてしまい、この状態になっていることが多くなります。この傾きを戻すために、ゴムを内側から外側にかけることが多いです。かみ合わせが逆になっている時のゴムかけは、先に内側部分にゴムをかけた方がかけやすくなります。
ゴムの交換頻度
ゴムは劣化しますので、基本的に1度外したら新しいゴムに交換します。ゴムは雑菌もつきやすいため、寝ている間は長時間同じゴムを使用しますし、唾液が減少して細菌が増えやすいタイミングなので、ゴムを清潔に保つために新しくしましょう。また、左右均等な力をかけるため、どちらかだけを交換することはありません。片方切れた場合には、反対側も新しいゴムにしましょう。交換する時は必ず両方交換して、同じ力がかかるようにします。
ゴムかけの期間はどの程度?
歯並びによってゴムかけの期間は個人差があります。軽度の歯並びの方は、あまり必要がありませんし、必要に応じて、ゴムかけを追加するので、一時的にゴムかけが必要になるなど、ゴムかけの期間は決まっていません。ただし、比較的大きく歯並びが乱れている方はゴムかけが必要になる期間が長い傾向になります。
ゴムかけのフックが取れてしまった場合には?
ゴムかけのフックが取れてしまった時には、歯科医院に連絡して指示を仰ぎましょう。次回の予約が近い場合には、その時にフックをつけなおす場合があります。
ゴムかけで注意すること
ゴムかけで一番大切なのは、どの部分にかけるかです。違う部分にゴムかけをしてしまうと、動かしたい方向ではない力がかかってしまいます。ゴムをかける位置の説明を聞いて、正しい位置にゴムをかけましょう。また、疑問がありましたら、お気軽のご相談ください。
【まとめ】
ゴムかけは、矯正治療をサポートするために大切なパーツの1つです。患者さまの自己管理が必要なので、毎日ゴムかけをして矯正力をアップしましょう。ゴムかけは、慣れると簡単にできますし、お口の中の違和感も少なくなっていきます。毎日コツコツ行うことが大切なので、整った歯並びを目指して頑張りましょう。口が開きにくい場合もありますが、数日経過すると落ち着くことがほとんどです。ゴムのかけ方で分からないことや気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。患者さまのお口によってかける場所が違いますので、患者さまに合わせてお話させていただきます。
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