歯並びを整える矯正治療にはさまざまな方法がありますが、その中でも「マウスピース型矯正」は、透明で目立たず、取り外し可能な快適さから多くの方から人気を集めています。この治療法は、見た目に配慮したい方や、矯正中の痛みを軽減したい方にとって魅力的な選択肢です。しかし、この治療法が全ての人に適しているわけではありません。この記事では、マウスピース型矯正に向いている方の特徴や、その治療法の具体的なメリット、注意すべき点を詳しく解説します。
目次
マウスピース型矯正とは?
マウスピース型矯正(インビザライン)は、プラスチックの装置を使用する矯正方法です。ワイヤーやブラケットを歯に固定する従来の矯正治療とは異なり、マウスピースは透明で目立ちにくく、自由に付け外しができます。そのため、普段の食事や歯磨きは、装置を外すことで通常通り行えます。また、通院頻度が少ないため、生活に影響を与えにくく、取り組みやすい治療方法です。マウスピース型矯正は、患者様の歯型をもとにシミュレーションを行い、その計画に沿ったマウスピースを作製します。必要な枚数は症状によって異なり、それぞれのマウスピースを順に使うことで、歯を理想的な位置へと導きます。定期的な交換を通じて歯列を少しずつ動かしていくため、決められたスケジュールを守ることで、計画的な歯列矯正が実現します。主に軽度から中等度の歯並びの問題に対応しており、重度の症状がある方には適していない場合があります。
マウスピース型矯正のメリット・デメリット
マウスピース型矯正は、透明で目立たないことや、取り外し可能な点が魅力が多く人気の高い矯正方法です。そのメリットとデメリットを以下にまとめました。治療を検討する際の参考にしてください。
◎メリット
● 見た目が目立たない
● 金属アレルギーの心配がない
● 装置を取り外せる
● マウスピースを外してお手入れできる
● 痛みが少ない
● 矯正治療を計画的に進められる
● 通院頻度が少ない
◎デメリット
● 装着時間を守る必要がある
● 自己管理が求められる
● 適応症例が限られている
マウスピース型矯正に向いている人の特徴
マウスピース型矯正に向いている方の特徴ついて詳しくご紹介します。
①軽度〜中等度の歯並びの不正の方
マウスピース型矯正は、「出っ歯」「受け口」「すきっ歯」など、さまざまな不正咬合に対応する矯正方法です。しかし、症状が重度の場合はマウスピースの着脱がしにくいことや、歯根の位置が大幅にずれているケースでは治療が難しくなります。そのため、軽度〜中等度の不正咬合に適した矯正方法とされています。適応範囲に制限があるものの、当院のカウンセリングにお越しいただいた患者様の7割以上が、マウスピース型矯正を選択できるケースに該当しています。また、ワイヤー矯正を組み合わせることで、より幅広い症例に対応することが可能です。
②マウスピースの装着を毎日続けられる方
マウスピース型矯正は、装着時間が1日20時間以上必要になります。外している時間が長くなる場合、治療効果が得られないだけでなく、歯並びが元に戻る「後戻り」のリスクを高めます。
③スケジュール通りマウスピースを交換できる方
マウスピース型矯正では、約1週間〜10日の間隔で、次のマウスピースに変更します。この交換は、スケジュールに沿って患者様自身で進めていただきます。その際、交換のタイミングを間違えたりスケジュールがズレてしまうと、歯の移動がシミュレーション通りに進まず、治療計画に影響を及ぼす恐れがあります。治療を成功させるためには、指示通りに交換を行い、スケジュールを守る自己管理が重要です。
④マウスピースのお手入れができる方
汚れたマウスピースをそのまま歯に密着させておくと虫歯や歯周病が生じる原因となってしまいます。マウスピースは清潔に維持しておくためのお手入れが欠かせません。薄いプラスチック素材でできているため、硬い歯ブラシや研磨剤入り歯磨き粉は使用せず、柔らかい歯ブラシで優しく洗うことが大切です。さらに、専用の洗浄剤を併用することで清潔に保つことができます。日々のケアを怠らないようにしましょう。
マウスピースの装着時間が足りないとどうなる?
マウスピース型矯正は、1日20時間以上使うことが求められます。指定された時間に満たないと、治療計画通りに矯正を進めていくことが難しくなります。以下に、装着時間が不足することで起こる影響を解説します。
①治療スケジュールが延長される
マウスピースは、少しずつ歯を動かすように設計されています。そのため、設計に合わせて進行していかないと、次のステップに進めなくなります。その結果、治療期間が延びる可能性があります。これにより、治療の費用が増えてしまうこともあります。
②後戻りが起きる
矯正治療後の歯は、新しい位置に定着しておらず、不安定なため元の位置に戻ろうとする性質があります。マウスピースを十分に装着しないと、せっかく動いた歯が後戻りしてしまい、再治療が必要になることがあります。
③マウスピースが入りづらくなる
装着時間が足りないと、予定の位置まで歯の移動が進まず、次のマウスピースがしっかり入らなくなることがあります。予定通りに進まないと、追加でマウスピースを作り直す必要が発生し、治療のコストが増えてしまうこともあります。
④追加費用や治療期間が増える
装置の再作成や治療計画の調整が必要になると、追加費用が発生したり、治療期間が大幅に延長したりする可能性があります。これは患者様にとって大きな負担となります。
マウスピースの装着時間を上手に守る3つのコツ
①習慣化する
朝起きたときや食事後など、毎日の習慣に装着時間を組み込むことで、自然と習慣化できます。特に、歯磨きのタイミングとセットで装着する習慣を作ると、忘れにくくなります。また、日々のスケジュールを見直し、長時間外出する際には専用ケースを携帯し、装着を中断しないよう意識しましょう。
②装着していない時間を少なくする
基本的にマウスピースを外さないことが重要です。食事や歯磨きの後は、すぐに装着を再開するよう心がけると、無意識のうちに外したままになってしまうことを防げます。装着が不足してマウスピースが入りづらくなってしまった場合は、すぐに担当医に相談しましょう。
③アラームを設定する
スマホのアラームやリマインダー機能を上手に利用して、付け忘れのリスクを予防することができます。例えば、「食後に装着」や「夜寝る前に確認」といった具体的な内容のアラームを設定しておくと付け忘れを予防しやすいでしょう。
まとめ
マウスピース型矯正は、自然な見た目や、痛みが少なく、快適な使用感が魅力的な矯正方法です。一方で、適応症例に限りがあることや装着時間の管理が求めため、られるため、自分に向いているかどうかをしっかり見極めることが必要です。マウスピース型矯正では、自己管理が求められる分、治療の進行には注意が必要ですが、その反面、通院回数が少なくて済む点は大きなメリットです。装置に慣れて習慣化できれば、仕事や学業、育児などで多忙な方でも、ライフスタイルに合わせて治療を進めやすいでしょう。歯科医師との相談を通じて、自分の歯並びやライフスタイルに最適な方法を選び、理想的な美しい歯並びを目指しましょう。マウスピース型矯正をご検討の方は、まずはカウンセリングにてお気軽にご相談ください。患者様一人ひとりの歯並びやお悩みに応じて、最適な治療方法を丁寧にご提案いたします。ご一読いただきありがとうございました。